「ゆうパック」配達巡る混乱は本当に解消したのか 組合「胸を張って遅れは無い、と言える状況ではない」
日本郵政は今月4日から11日にかけて、「ゆうパック」の配達に遅れが発生していたことを12月21日の社長会見で明らかにした。影響があったのは1万3500個で、預かった物を区分けし、集配に出す工程で遅れが生じた。荷物の到着が最大で半日遅れたケースもあったが、大きな遅延はなかったと言う。
ツイッターでは会見前から、郵便局の職員と見られるユーザーから、荷物量の増加に対応するため、他部局の職員がゆうパックの応援に駆り出されているという報告が相次いでいた。
ヤマト、佐川急便の相次ぐ値上げの影響は「可能性としてはある」と広報担当者
日本郵便によると、9月のゆうパック取扱量は、前年同月比17%の増加だった。10月、11月もそれぞれ23%増、25%増と、引受量は多い傾向にある。12月は20%ほどの増加になる見通しだ。
広報担当者に遅れの原因を聞くと、「EC市場の活性化で荷物の総量が増えました。また、正確なことは分かりませんが、ヤマト運輸や佐川急便が運賃を値上げした影響も、可能性としてはあります」という見方を示した。
ヤマト運輸は今年10月、運賃を140円~180円値上げした。佐川急便も11月に60円~230円上げている。ゆうパックは来年3月に価格を改定予定だが、現時点では60センチサイズの荷物の運賃を見ると、ヤマトの907円、佐川急便756円に対し、ゆうパックは690円と最安値だ。コスト削減したい企業や個人では、ゆうパックを選ぶところも多くなるだろう。
同社は11月の時点で、12月の引受量が前年より増えると見込み、区分けアルバイトの採用数を増やしたという。現在人員は100%近く充足しているため、「人が少なくて区分けできないとか、荷物が届けられないといった状況は生じていない」と主張する。
12月15日にはホームページ上で、年末年始のゆうパックが1日~2日程度遅れると発表していたが、これは「高速道路の渋滞や航空機への貨物搭載制限など、例年と同じ理由」であり、他社の値上げや人員不足のせいではないと強調した。
再配達時間に遅れることもあり「決して余裕があるわけではない」
ただ、郵政産業労働者ユニオンの担当者は、「値上げした他社の分がこちらに回ってくるのは明らか。状況は確かに落ち着いてきたが、職員総出で遅れが出ないようなんとか食い止めている。地域や局によってはまだ大変なところもあり、胸を張って『遅れは無い』と言える状況ではない」と言う。
「通常の配達には間に合っても、再配達の時間に遅れて怒られたという話を組合員から聞いている。決して余裕があるわけではない」
ゆうパックの配達は郵便局職員ではなく、契約する委託業者が行っている。引受量が増え、委託業者だけの配達では回らないことから、普通郵便の配達を終えたスタッフや本社・支社の職員、現場管理職が応援に入っているそうだ。中には休日出勤をして手伝う職員もいるほどだ。
24日頃からは年賀状の配達準備に取り掛かるため、ゆうパックを手伝っていられる状況ではなくなる。ユニオンの担当者は「普段から勤怠管理がいい加減なので、サービス残業が横行している局もあると思う。職員は今、普段以上に休めていないのではないか。混乱は当分続くと思う」との懸念を示していた。