「ドラゴン桜」の三田紀房、残業代未払い問題解決を報告 「より一層透明でわかりやすい働き方の仕組みを作る」と前向きなコメント
三田さんの職場では、スタッフとの話し合いの末、「週4日勤務(週休3日)で木曜日に原稿が完成するまで働く」という働き方を採用していた。週休3日にすることで、「スタッフ自身の作品創作に使えるまとまった時間を作ることができる」からだ。
こうした働き方は、労働基準法でも「変形労働時間制」として認められており、「1日10時間、週40時間までの範囲であれば残業代が発生しない」ことを弁護士にも確認したという。ただ、雇用契約書や就業規則に記載していなかったこともあり、
「変形労働時間制ではなく1日8時間勤務を前提として計算した場合に発生する未払い残業代をお支払いしました。また、カクイシさんだけではなく、私のオフィスで働いてくれているスタッフ全員にも同じような対応を行います」
としている。
今回、三田さんが残業代を支払ったのは、カクイシさん本人から請求があったからだ。ヤフー!ニュース特集が12月初旬、三田さんの職場で「残業が禁止されている」と報じたことに対し、カクイシさんは同月7日「残業は今までさんざんしましたよね?」「そしてその残業代は全く支払われていませんよね」とブログで反論。残業代の請求に踏み切ると宣言していた。
カクイシさんから残業代を請求されたことについて、三田さんは
「当初は正直驚き、戸惑いもしたのですが、私の認識不足のこともありましたし、より一層透明でわかりやすい仕組みを作るきっかけにすることもできますので、私自身は実は彼に対しては感謝の気持ちでいます」
と前向きに受け止めているようだ。
「出版社はアシスタントの人件費もきちんと含んだ原稿料をマンガ家に支払うべき」
カクイシさんも17日にブログを更新し、残業代の請求に対して「こちらの指定した期日に満額で入金がありました」と報告。そして今回の件は円満に解決したものの、漫画業界ではアシスタントの待遇が悪すぎると改めて警鐘を鳴らした。
「マンガ家もスタッフの労働時間をもっときちんと管理をしていくべきだと私は思います。そして法定労働時間を超えた場合は残業代を支払うべきだと思います」
「出版社はアシスタント複数人の人件費もきちんと含んだ原稿料(制作予算)をマンガ家に支払うべきだと思います」
アシスタントが長時間働かなければならないような場合は、アシスタントを増やす。そしてアシスタントを増やせるように適切な原稿料を出版社が支払うという仕組みが必要なのだろう。そしてそのためには読者にも、無料の漫画閲覧サイトを利用しないなど、制作者にお金が行き渡るよう適切に行動することが求められるのかもしれない。