日本の会社はそこまで余裕がないのか――大雪でも休めない、気づけば誰もが社畜状態に
関東で4年ぶりの大雪となった。筆者は都内在住ではないが、都心部には知人友人がいる。そんな彼らの多くがLINEのグループチャットで「帰れない」や「バスが来ない」、「電車がすし詰め」などと発言をしている。
雪が降る前に国交省が「不要不急の外出は控えるように」という発表を出した。首都圏が大雪になるということは規定路線となっていたようで。なのに、なんでどこの会社も休みにしないのだろうか。僕が知るところでは、今日になって仕事が休みになったのは長距離ドライバーぐらいである。(文:松本ミゾレ)
たった1日そこらのことなのに会社が休みにならないのはヤバくないか
積雪23センチ程度というと、豪雪地帯の人々からすれば大したことはないかもしれないが首都圏はそうは行かない。公共交通機関などはダイヤが乱れ、遅延やそれに伴う大混雑なんてすぐに起きてしまう。
こうしたことは、過去に様々な台風や地震によって証明されてきたし、誰もが知るところだ。そんな状況下でも会社に出向き、仕事をし、そして家路に着く人々をメディアがインタビュー取材をする様子を過去にも見ているが、一様に彼らはくたびれた様子であった。なのに、いつまで経っても状況は改善されず、苦痛が繰り返されるだけである。
僕は半分世捨てみたいなものなので好き勝手にいわせてもらうが、「どこの企業もこういうときに休みにならないぐらい、余裕がないのかね」と思えて仕方がない。たった1日かそこらのことなのに、「とにかく会社においでなさい」となってしまう雰囲気、ヤバくないか?
そんなことまでして出勤して、どんな素晴らしいメリットがあるのか。しかも苦労して出勤してきた労働者に、特別な手当てもあたえもしない。
リモートでできる仕事だってあるのに、なんで出社させようとするの?
何遍でもいうけど、大雪でインフラがズッタズタになることなんて、予報を見ていれば誰でも分かることだ。それなのに無理矢理出勤させて通常業務をさせた挙句、帰ろうにも大混雑した駅に従業員を追いやるという企業の姿勢が、なんだか笑えない。
そりゃあ職種によっては「絶対に出勤しなきゃダメなんだよ」というケースもあることは分かるけど、正直「え? そんなの休ませればいいじゃん」といいたくなる職種もある。
今の時代、リモートで働ける仕事だってある。そういう、休ませても影響が少ない職場の従業員までもが、なんか知らないけど出勤させられているからこそ、余計に混雑は加速するし、駅のホームに殺到した人々が疲弊をする。
ツイッターのトレンドでは大雪関連のタグばかり目立つ。「入場規制」や「大雪警報」、「満員電車」など、このキーワードに関連する状況下に置かれている当事者に、つい同情をしてしまうものだ。
ところで、以前に飛翔体が北朝鮮からぶっ放されたときにも、Jアラートが鳴ってそう時間も経たないというのに、当たり前みたいな雰囲気で出勤する人々のことがやけに空恐ろしく感じた。今回もまた、似たものを感じる。
この国の労働者、特に首都圏の労働者にとっては、どんなことがあっても例外なく、いつもどおり仕事に出向き、そして家路に着くというルーチンは欠かせないのかもしれない。
数年ぶりの大雪に際して国交省が「不要不急の外出は控えるように」とまで通達しているのに、その発表が全く効果を見せない。どんな状況でも出勤してバリバリと働くことこそが首都圏の不文律。それでいて経済は相変わらず不況で、労働者も低賃金に喘いでいるのだから、笑うに笑えない。