【20代平均月収9万円】低賃金の若手アニメーターを支える”現代のトキワ荘”運営費のクラウドファンディングを開始
同団体は住居支援の他、ベテランアニメーターによる絵や作画の技術支援や仕事紹介なども行っている。過去に住居支援者を受けていた人の中には「ガンダム Gのレコンギスタ」作画監督・玉川真吾さん、「甲鉄城のカバネリ」アクション作画監督・川野達朗さんもいる。
現在、日本のアニメ産業の市場規模は2兆円を超えると言われている。しかし日本アニメーター・演出家協会が2009年に発表した実態調査によると、20代アニメーターの平均月収は約9万円、年収だと約110万円だという。
収入が極端に低い理由は、「多くの場合アニメーターは、作画の枚数単価による出来高制で雇用されているから」だという。例えばTVシリーズの枚数単価は200円程度。1か月に300枚描いても月収は6万円だ。しかし新人が300も描くのはかなり大変で、同団体は「1年目の新人アニメーターの場合、月収が3万円程度ということもある」という。
しかし作画のスピードが早くなり、それなりの収入を得られるアニメーターに育つまでには時間がかかる。その上、長時間労働のためアルバイトも出来ない。多くのアニメスタジオが東京に集中しているため、地方から上京している新人アニメーターにとって家賃は大きな負担となっているのが現状だ。
さらに動画担当のアニメーターは業務委託契約で雇われ、正社員は15%。低賃金かつ福利厚生も受けられない状況で働いており、3年以内の離職率は9割にものぼるという。
脱「製作委員会方式」? クラウドファンディングでアニメを作るプロジェクトも
また低賃金の原因の1つに「製作委員会方式」も挙げられる。多くの企業が参加する製作委員会から制作会社へ支払われる制作費は十分な額ではないことが多く、結果アニメーターの待遇が悪化する。さらに収益は全て製作委員会のものになり、アニメーターには還元されないという。
同団体はこの問題に対して、クラウドファンディングを活用して、売上利益がアニメファンから直接アニメーターを中心とした制作現場に還元する仕組み作りに取り組むという。現在、「過去の住居支援者が監督する作品1本」と「公募によって募集した企画をアニメ化する作品1本」の合計2本の作品制作を予定している。