企業の7割で人手不足状態、特にサービス業で深刻 「給与水準が低いのに、労働時間が長いのが原因」
また人手不足により生じた負担としては、「従業員の負担増」が47.9%で最も多く、「受注機会等逸失」が24.2%だった。人手不足で従業員にしわ寄せがいったり、せっかくの仕事を受注できなかったりしているようだ。
人手不足解消に向けた取組みとしては、「採用取組強化」が81.8%で、「業務環境改善」(46.7%)や「待遇改善」(34.5%)を大きく上回っている。具体的には、「説明会等活動促進」(82.2%)と採用活動を活発にしている企業が多いようだ。
女性・高齢者の採用を促進している企業も16.3%あり、そうした企業からは、
「総務などの間接部門から生産ラインへの配置転換による(女性の)育成を7~8年前から実施している。管理部門や管理職への登用など女性の地位向上につながっている」(大企業・情報通信機械)
といった声が寄せられている。女性の活用を進めることで、人手不足解消と女性の地位向上が一挙に実現しているようだ。
他には、賃上げや外国人材の受入れで対応している企業がある。
「パートを準社員に格上げし、賃金を上昇させることにより定着率が向上。また、年齢の上限の引き上げ、週末勤務のない採用枠を設置」(大企業・小売)
「他社と共同で東南アジアに日本語学校を解説し、今後人材を受け入れていく予定」(中堅企業・建設)
「飲食店では非正規不足で猫の手も借りたい状態」
不足している人材を、職種・雇用形態別に複数回答で聞くと、「営業・現業職員」の非正規労働者が79.8%で突出している。この点について関東財務局の担当者は、
「例えば、飲食店やサービス業で働く非正規の人たちが足りず、現場では『猫の手も借りたい』というほどの状態になっている。最近、24時間営業を取りやめる店舗が出てきているが、まさに人手不足が原因だ」
と話す。
実際、東京都における有効求人倍率(2017年11月)を職業別に見ると、「サービス(接客・給仕)」は8.98倍と群を抜いて高い。全職業の1.8倍を大幅に上回っている。前出の担当者は、サービス業で人手不足が深刻な理由として、
「宿泊・飲食サービスの労働時間は170~180時間と他の職業よりも長くなっている。一方、給与水準は最も低い。これが原因で人が集まらないのではないか」
と指摘していた。