企業の6割、非正規の待遇格差改善「未検討」―「基本給」「賞与」での差を認識している企業は9割にのぼる
日本生命は1月26日、福利厚生アンケート調査の結果を発表した。調査は2017年5~10月に訪問聞き取り調査で実施し、898社から回答を得た。
同報告書内では、正規・非正規間の待遇差、働き方改革への取り組みのほか、従業員のメンタルヘルスなどについての結果が掲載されている。
企業が最も行っているのは「労働時間の削減」 副業・兼業支援は3%
正規・非正規間の待遇について聞くと、「休憩室」(85.0%)、「更衣室」(83.7%)、「通勤交通費」(83.2%)で「待遇差がない」と回答した企業が多かった。一方、「賞与」(92.0%)、「基本給」(89.2%)、「家族手当」(72.0%)は「待遇差がある」が多く、両者の格差が顕著となった。
このような非正規従業員・職員の制度・施策の改善について聞くと「基本給」は14.5%、「賞与」は11.7%が検討していることが分かった。しかし最も多いのは「特に検討していない」で59.6%に上っている。正規・非正規間の隔たりが大きい状況は続きそうだ。
働き方改革の取り組みで「対応の必要性が高いと思うもの」を聞くと、「労働時間の削減(残業削減や休暇取得の促進)」(66.9%)、「女性の従業員・職員の管理職登用の促進」(52.7%)、「介護と仕事の両立支援」(43.0%)が上位を占めた。
また「具体的に対応に着手しているもの」でも同様の順位で、特に「労働時間の削減」は75.6%が取り組んでいる。一方、対応の必要性・着手ともに最下位だったのは、「従業員・職員の副業・兼業に対する支援」で各3%台となっている。
「育休取得者が増えた」が6割 一方、「メンタルヘルス不調での休職者が増えた」3割
すでに実施している「残業の制限」に関する取り組みを見ると、7割程度が「早帰り運動」や「業務効率化や法令遵守に関する従業員・職員への教育」「長時間労働職場の管理職に対するヒアリングや指導」を行っていることがわかった。
「勤務の多様化・柔軟化」に関しては、「フレックスタイム」、「残業削減に向けた事業・人事戦略の見直し」に関しては「組織や個人の目標への、残業削減の取組みの設定」を各4割程度導入している。他にもさまざまな取組みがあるが、内容や導入については企業によりばらつきがあるようだ。
休業や休職者について聞くと、「育児休業」について過去5年間で取得した従業員が増えたと回答した企業は61.0%。「育児を理由とした離職者が減っている」も23.2%おり、育児をしながらも働ける職場環境づくりが進められているようだ。
一方で「メンタルヘルス不調」による休業や休職者が「増えている」は34.6%で、それによる離職者が「増えている」19.6%。従業員のメンタルヘルスへの配慮は課題となっているが、対策として、企業の6割程度が「管理職研修」「相談窓口の設置」「人事部や管理職等による復職後の継続的なフォロー」を挙げている。