介護士の8割が「慢性的な人手不足がストレス」 看護師・保育士含む”女性福祉ワーカー”の過酷な労働環境
メディプラスは2月8日、女性看護師・介護士・保育士の”女性福祉ワーカー”の職場ストレスについての分析結果を発表した。調査は昨年2~4月にインターネットで実施し、看護師・介護士・保育士各103人、計309人から回答を得た。
ストレス値が77点以上の”高ストレス者”は女性全体で16.2%。しかし看護師は18.8%、介護士は20.2%、保育士は17.0%と、女性福祉ワーカーは高負荷を感じている人の割合が高い。
保育士の隠れストレス「歌ったり大声出したりするため、喉が痛い」
ストレスを感じている要因を見ると、「人命にかかわる緊張感」が看護師で最も高く56.3%で、福祉ワーカー以外の有職者と比べ6.6倍にのぼる。介護士・保育士も40.8%で、4.8倍となっている。
「肉体的、体力的な負担が大きい」については介護士が65.0%、看護師・保育士43.7%、「女性が多い職場の人間関係の難しさ」は看護師が48.5%、保育士が43.7%、介護士が38.8%となっている。
これらの割合は、福祉ワーカー以外の女性有職者の割合比較すると2~7倍程度となる。福祉ワーカーは精神的、肉体的、対人的と複合的なストレスに囲まれている職場環境だといえるだろう。
さらに「慢性的な人手不足」は介護士の74.8%が回答しており、他の福祉ワーカーを20ポイント以上上回っている。また医療事故につながりかねない状況から「技術の未熟さへの不安」も看護師で50.5%と約半数、介護士でも39.8%が挙げている。
他にも、あまり取りざたされることはないが「話すことが多い為、のどが痛くなる」という回答が保育士で41.7%。歌ったり大声を出したりする仕事ならではの”隠れストレス”と言えそうだ。シフトワーカーならでは要因としては「仕事量の変更が大きい」は看護師で46.6%、「不規則な勤務時間」は介護士で50.5%と、自身の生活ペースを乱されている人が多い。
看護師・保育士は”自分の時間”、介護士は”自分自身”を犠牲にして働く傾向も
働き方への意識について、福祉ワーカー以外の女性有職者の割合と比較した。看護師は「休日も仕事のことを考えている」が1.6倍、「残業・休日出勤は当然」が1.4倍と、勤務時間外業務がデフォルト化していることが分かった。
介護士は「仕事を頼まれると断れない」が1.3倍、「自分を偽って仕事をしている」が1.2倍と、自分を押し殺し、我慢して働いている傾向にある。
保育士は「仕事の達成感に充実を感じる」が1.5倍だが、「仕事を家に持ち帰る」が3.5倍、「プライベートより仕事を優先」が1.9倍と、自身の時間へのしわ寄せがストレスになっていると推測できる。
これら3つの職業は高ストレス者が多い傾向にあるが、ストレス値が39点以下の”低ストレス者”も1割程度いる。実践しているリラックス行動を比較すると、低ストレス者には大きく分けて2つの特徴が見えた。
1つ目は「森林浴」「アウトドア」「自然の音を聞く」など”自然と触れ合う”行動をとっていることだ。2つ目は「鏡を見る」「メイク直し」「フェイスマッサージ」などの”セルフケア”。同社の研究で、”肌に触れる”行為がストレスオフに役立つことが近年の研究でわかってきたという。