8時間で帰れたら「歯医者に行く」「自炊したい」「眠りたい」 弁護士は「低賃金と長時間労働が若者を襲っている」と警鐘
同調査は、現在も対面やインターネットを通じて実施されており、現在までに570人が回答している。仕事によって奪われている「生活時間」としては、「趣味の時間」(63%)がトップで、「睡眠」(57%)、「通院・リフレッシュの時間」(54%)を上げる人も多かった。
長時間労働を是正するために必要な政策としては、「生活できる基本給にする」が69%で最も多く、次いで「法律違反の罰則を強化する」(59%)、「違反企業を公表する」(52%)が続いた。
会見には、過労で精神疾患を患い、退職に追い込まれた30代の女性も出席。1か月65時間の残業で罹患し、5年経った今でも健康な体に戻れていないという。「過労死したり、病気になったりするほど働くことがありふれている。これが正しい社会なのか」と疑問を投げかけた。
テレビ局でADとして働いていたという20代女性も1日14時間、週休1日で働き続け、生理が2か月止まるといった健康被害にあった。理容師として働いていた30代男性も月2回の休みで、毎日9時前から24時頃までの勤務を強いられていたという。
こうした現状について、佐々木弁護士は、
「若い人たちの間に長時間労働が蔓延し、健康を奪っているということがわかった。(中略)どのような対策が必要なのか聞くと『生活できる基本給にする』という回答が1位になっている。これは低賃金と長時間労働という最悪のコンビが若い人を襲っているということをよく示している」
と懸念を示した。
「働く現場の文化を変えていかないといけない」
現在、国会で審議されている法案については、「労働時間の上限規制では、単月で100時間未満まで容認されている。月80時間が過労死ラインと言われているのに、それを許容してしまっていいのか。どんなに長くても大臣告示にある月45時間が上限だと思う」と批判。
長時間労働を是正するために必要なこととしては、
「インターバル規制を導入したり、労働時間の記録・管理を使用者に義務付けることが必要だ。労働時間を実際よりも短く申告させている場合もあるが、そうした場合には罰則を課すべきだと思う。また、法律を作るだけでなく、働く現場の文化を変えていかないといけない」
と指摘した。
同キャンペーンには、佐々木弁護士の他にも、首都圏青年ユニオンの原田仁希・執行委員長や民青同盟の小山農・中央委員長が呼びかけ人に名を連ねている。「仕事・生活実態調査」は現在も回答を募集しており、今後結果を集約して厚生労働省に提出する予定だ。