レオパレス21の法令違反疑い発覚、テレ東「ガイアの夜明け」取材がきっかけだった ネットは「いい仕事した」と話題に
また、三重県桑名市のアパートでも専門家が検査をすると、界壁はベニヤ一枚で「完全に建築基準法に違反している」と指摘された。補修費用は天井部のみで1000万円、壁を入れると4000万円にもなるという。オーナーは「直せないな…ショックやなあ…」と唸る。
補修工事だけでなく、入居者の転居費用なども数百万かかると頭を抱える。「業者さん(レオパレス21)を信じてお願いしているわけですから。まさかそんな隠し事、瑕疵があるとは思っていないですから」と途方に暮れていた。
この桑名市のアパートに市の職員が正式に検査に入ったのは4月27日。その日の午後、レオパレス21は
「図面と違ったアパートを施工したため、補修工事を実施する」
と、緊急発表を行った。対象は全国に915棟。全費用をレオパレス側が負担するという。発覚した経緯として、「3月と4月にオーナーから指摘を受けたため」と説明している。番組が取材したオーナーたちだ。
20年前から隠蔽? 「本当は、世の中に存在しちゃダメな建物」
天井裏の問題は過去の裁判でも指摘されていた。レオパレス21は、家賃30年保証を謳いアパート経営を勧めてきたが、2011年から一方的な解約が増えたことで複数のオーナーから訴えられている。オーナーの独自調査によって界壁問題が判明し、裁判所が2012年にそれを通知すると、レオパレス側は和解を受け入れた。当時調査した一級建築士は、こうコメントしている。
「住むための建物じゃなく、おカネ儲けの建物という感じ」
「本当は、世の中に存在しちゃダメな建物だと思います」
レオパレスは、少なくとも6年前にはこの問題を知っていたことになる。
実は冒頭2件の調査は、番組が独自入手したレオパレス21の内部文書をもとに行っていた。関係者の証言では、この件は20年くらい前から問題になっており、社内で隠蔽・放置されてきたものだという。「3月と4月に指摘を受けてわかったというのは嘘?」との質問に、関係者は「ウソといえばウソ」と答えた。
「経営レベルでは議論したことも、認識もしていない」と釈明
5月29日の会見で田尻和人専務は、深々と頭を下げたものの、その説明は納得できるものとは言い難かった。問題の原因を、「図面などと現場との照合確認が不十分だった」「社内検査体制も不十分だった」と釈明。この問題は今回初めて知り、これまで「経営レベルでは認識していなかった」と繰り返し述べた。
しかし2012年の裁判の件を何度も追及されると、質問者の言葉を遮るように「裁判で訴えられたのは界壁がないことではございません」と応じた。あくまで「2人のオーナーに指摘されて」知ったのであり、
「経営レベルでは議論したこともありませんし、認識もしていません」
と言い放ち、表情は苛立ちを隠せなくなっていた。
会見に先立ち国交省は、自治体の判断で違反が認められれば、「(レオパレスの)建築士を処分する方針」を示している。設計図面にはしっかりと界壁が記されていたが、行政処分が建築士だけとはなんともすっきりしない。番組は深山社長に再三取材を申し込んだが、一度も応じてもらえなかった。番組放送日の5月29日には、レオパレス21は再び調査の経過を公式サイトで詳細に報告している。
視聴者からは、ツイッターでレオパレスへの批判が相次ぐ一方、「いい仕事した」「これぞジャーナリズム」など、テレビ東京の取材力を称賛する声が数多くあがっていた。番組は「取材を続けます」としている。