「不適切な表現があった」日本化学会がPR動画削除 女子大生が教授に恋し「今から始まるケミカルストーリー」
日本化学会は、「同会のプロモーションムービーに不適切な表現があった」として、6月11日、公式サイトにお詫びを掲載した。
「この度、日本化学会が作成したプロモーションムービーにつきまして、学生(特に女性)の科学への興味を軽視している不適切な表現があるとのご指摘を頂戴いたしました。ご覧になった方々にご不快な思いをさせてしまい、大変申し訳ございません。深くお詫び申し上げます」
「女性が科学者を志すのは『科学への興味・探求心』。男性科学者への恋愛感情じゃない」
動画は今年4月に、ユーチューブの公式チャンネルで公開していたもの。化学が好きな学部3年の女子大生「ユナ」と、その友人たち、ユナの憧れである「日野教授」を中心にストーリーが展開する。
動画は、パンをくわえたユナが大学構内で日野教授にぶつかるところから始まる。その後、友人の勧めもあり学会に入会したユナは、日野教授の発表を見て、教授への恋心を高めていく。
しかし、既婚者の教授がユナの同級生と不倫している疑惑が持ち上がり、ストーリーは化学や化学会とは離れていく。最後は、春季学会で日野教授とユナが向かい合い、「今から始まるケミカルストーリー」というテロップが流れて終わる。
動画は、5月下旬頃からネット上で「攻めてる」と注目が集まっていたが、6月9日頃からは研究者らを中心に「何を伝えたいのかさっぱりわからない」といった声や、
「下手したらハラスメントの温床です。 研究のおもしろさはかけらも伝わらず、権威と権力への服従を勧め、若手研究者が勇気付けられるとも思えない」
「これで何がアピールできると?」
「女性が科学者を志すのは『科学への興味・探求心』があるからで、男性科学者への恋愛感情なんかじゃないよ」
などの非難が噴出していた。
こうした声を受け、同会は6月11日、「皆さまからのご指摘を受け、プロモーションムービーを削除いたしました」と発表。
「多くの若手に化学に興味を持っていただき、化学の道へ進んでほしいという意図で作成したものでしたが、今後は化学の魅力や面白さを伝えるよう一層気を付けて取り組んでまいります。引き続きご支援・ご指導賜りますようお願い申し上げます」
と、差別の意図はなかったと釈明した。
この学会の映像、下手したらハラスメントの温床です。
研究のおもしろさはかけらも伝わらず、権威と権力への服従を勧め、若手研究者が勇気付けられるとも思えない。
執行部で、だれか止める人はいなかったのだろうか日本化学会オリジナルムービー https://t.co/gDgRhWHhwK
— KAMEI Nobutaka (@jinrui_nikki) 2018年6月10日
これを見た感想は「なんじゃこら???」です。
女性が科学者を志すのは「科学への興味・探求心」があるからで、男性科学者への恋愛感情なんかじゃないよ。日本てどこまで後進国なのよ…。https://t.co/IQbDvufIty— 片瀬久美子 (@kumikokatase) 2018年6月10日
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