「ガイアの夜明け」が宅配ピザ「ナポリの窯」のワンオペ店舗を紹介 「通常回に見せかけた“告発回”」という声相次ぐ
店長になって4年目のTさんは、高齢の母親と二人暮らし。この仕事で生活を支えているという。平日も午前11時から注文が次々に入るが、すべて一人でこなしているためどうしても待ち時間が長くなる。注文をとりやめる客が増え、ここ数年は人件費や店の賃料などを引くと赤字が続いていた。
スタッフは常に募集しているが、若者の人口減少や、徳島市で競合となる大手宅配ピザチェーンが展開していることもありほとんど集まらない。デリバリースタッフ募集の時給は平日で「860円以上」、土曜日「890円以上」、日・祝「910円以上」で、22時以降が「1137円以上」だった。最後にきたバイトの応募は2年前だという。
フランチャイズ本部では、解決策として4~5畳ほどの仮説プレハブを使った業界初の「持ち帰り専門店」を地方で展開することを決めた。発案した社長は、「ノウハウの集大成をここに凝縮させていきたい。我々だからできる 『脱・宅配』」と意欲的だ。
この「脱・宅配」の1号店が徳島中央店というわけだ。賃貸物件を退き、隣の小松島市にある商業施設の駐車場に移転した。近くにある大きな建物と比べてあまりにも小さいが、店長は「1歩2歩で全部(調理器具などが)手を伸ばしたら取れるところにあるので、一人ですべて作って営業するにはこちらの方がやりやすいと思います」と話す。
運営コストはこれまでの3分の1。オープン当日は本部からの応援含め4人で回し、目標の倍以上である33万円の売り上げをはじき出した。店舗責任者の幹部社員は、地方のビジネス展開の可能性について前向きに語っていたが、今後はこれを、店長たった一人で切り回して行かなくてはならない。
低価格外食産業で働く人の待遇はずっと悪いままなのか
こうした店舗運営は、「厳しいワンオペ」を強烈に印象付けてしまったようで、人手不足の企業努力をアピールしたつもりが、結果は逆効果だった。ネット上には、視聴者から「解決策になってない」などの批判とともに、「通常回に見せかけた『告発回』だな」など、真意は定かではないが、テレビ東京が「普通の取材と見せかけて厳しい実情を暴露した」と捉える視聴者も少なくなかった。
一方で、バイトが来ない状態のまま宅配を続けていれば、赤字はかさみ潰れるしかないという見方もある。自ら出資しているであろうフランチャイズのオーナー店長としては、なんとか生き残るために選択肢はない状況だっただろう。本部は無傷で店長が大変と見る人もいて、低価格の外食産業で働く人の待遇が良くならないことへの不満が爆発、批判が相次ぐ事態になっていた。