「うちの病院にいる間は妊娠しないで」女性医師の過酷な労働環境「職場と相談し計画出産したが、産休後の仕事がなくなった」
一律減点に理解を示した医師らからは、「激務は事実。妊娠出産での欠員を埋めるようなバックアップシステムが不十分であることも事実」(小児科)と、医療現場の実態から考えると仕方ない、という諦めの声があった。中には、
「実際自分も、家事育児をするために仕事を調整して、できないことも多いので、働ける男性を優先されることについて、大きなことを言えない」(小児科)
という声もある。男性医師は「女性の権利としては認めるし、悪いのは彼女たちではなくてシステムなのもわかる。男性医師が家庭のことをやれ、というのもごもっとも」と答えつつも、
「だが、我々男性医師が深夜12時過ぎまで働いたり、当直の肩代わりなど、現実の負担増を考えると東京医大がやったことも必要悪として気持ちはわかる」(放射線治療)
と不満を滲ませていた。
「切迫流産で数日休んだ時には『流れてしまえばいい』とまで言われた」
調査では、医学部時代や医師になってから受けた不当な差別・扱いについても聞いた。特に妊娠・出産に関する事例が多く寄せられていて、研修医時代に妊娠した内科医の女性は
「産休ギリギリまで当直もやり、みんなと同じように勤務したのに、事あるごとに『研修医なのに妊娠するなんて』『だらしない』などと言われました。初期に切迫流産で数日休んだ時には『流れてしまえばいい』とまで言われ、どうしてここまで言われなければいけないのかと悲しかったです」
と投稿。このほかにも、
「職場と相談し計画出産したが、産休の代替があるはずがなくなり、産休後の仕事もなくなった」(非開示)
「うちの病院にいる間は妊娠しないでね、と言われた」(整形外科)
「月経困難で、緊急手術に入れそうになかったとき、理解のない医師からは非難・笑いのネタとなった。『腹痛でオンコール変わってくださいなんて、俺だったら明日からクビですね笑』」(心臓血管外科)
などの声があった。
東京医大の一律減点のような不当な差別を防止するため、医療業界として取り組む必要があることを聞くと、「医師でなくても出来る仕事をコメディカルにさせる」「ナースプラクティショナーなどへの権利依託」など、仕事の分散や権限移譲が多く挙げられた。
「結婚、出産だけでなく、介護や自分自身の健康問題等で働き方のペースをいったん落としたり、休む期間が発生することは誰にでもありうる。男女関係なく、はたらき方の選択肢を増やすことが、不当な差別を減らすことにつながるように思う」(内科)
と、医師の働き方改革の必要性を指摘する声もあった。