勝間和代、大阪市の「学力テストの結果を教員の給与に反映させる」案に苦言 「米国では不正が横行、大失敗している」
番組は産経ニュースの記事を採りあげ、吉村市長の「教員はぬるま湯に漬かっている。結果に対し責任を負う制度に変える」との発言に、賛否両論が出ていることを伝えた。
この案に対して勝間さんは、「2000年の初め頃にアメリカでまったく同じことをやってみたんですよ」と解説する。カルフォルニア州やシカゴで、教員の成績をテストによって上下させたり、学校に対する補助金を与えようということをした結果、
「大失敗したんですよ。どう失敗したのかは簡単で、不正が横行したんです」
「要は先生たちが自分のボーナスを上げたり、自分がクビにならないために、子供たちの点数をわざと不正な方法で上げようとしたんです」
と、アメリカでの失敗例を説いた。例えば、テストの時間を延ばす、回答の空欄を教員が勝手に埋めてしまうなどだ。酷いものになると、鉛筆で書かれた回答を「消して書き換える」などが行なわれたという。
苫米地氏「生徒一人一人のモチベーションにどうやって介入していくかという方がはるかに重要」
教師として頑張った結果が報酬に反映されるのなら、教員のやりがいも違ったものになるのかもしれない。漫画家の倉田真由美さんも、「熱心な先生が増えるのはいいじゃないですか」と、制度を否定はしなかった。だが、勝間さんの話を聞くと、うまいやり方ではないと分かる。
教育評論家の尾木直樹氏の著書「取り残される日本の教育」(講談社+α新書)には、国の統一テスト自体に疑問を呈するこんな記述がある。フィンランドには自治体の全てが行う国の統一テストは無く、いまの日本のように何日も前からテスト対策のための授業をする必要がないと説明し、
「統一テストの当日に成績の芳しくない子供を休ませたりといった、教育者らしからぬ姑息な真似をする必要もないのです」
としている。
番組でも、脳科学者の苫米地英人さんが、「カルフォルニアではこれが問題になり、教師の報酬を上げるのは役に立たない(結論に)となった」として、
「教師ではなく、生徒一人一人のモチベーションにどうやって介入していくかという方がはるかに重要」
と語っている。自身が関わるアメリカでのプロジェクトで、すでに成功例があると胸を張る。
勝間さんは最後に、「大阪市長はアメリカがなぜ失敗したかをちゃんと精査して行ってもらいたいですね」と釘を刺していた。サマータイムといい、海外でやってみて効果に疑問が出ているものを、日本が周回遅れでやろうとする最近の傾向はどういったものだろうか。