福島市の「サン・チャイルド」撤去へ 設置時に市は133万円負担「撤去にも同じくらいかかる見込み」
福島市の木幡浩市長は28日、市の公式サイトに声明を掲載。市民向けアンケートの結果を受け、
「災害の教訓の継承、勇気や元気を与えるなどの観点から設置の継続を求める声がある一方で、風評への懸念、作品への違和感、設置する場所の問題など設置に反対する声も多く、このように賛否が分かれる作品を『復興の象徴』として、このまま市民の皆様の前に設置し続けることは困難と判断しました」
とコメントした。22日の定例記者会見で木幡市長は「ネガティブな目線ではなく、冷静に像を見てほしい」と設置に理解を求める発言をしていたが、市民の声に押された形だ。
寄贈ということもあり、事前に市民に設置に関する意見聴衆などを行わなかったことについて、声明の中で「合意形成のプロセスを欠いたことは反省している」と述べた。今後はできるだけ早く展示を取りやめる方針で、市政運営への戒めとするために、「市長給与の減額措置を講じたい」とも述べている。
このほか、製作者のヤノベ氏について、市民に対し、
「ヤノベさんは、震災翌月の4月から福島に通われる中で、未来に向けて希望が持てるようにとの思いからサン・チャイルドを制作されました。(中略)芸術作品として、鑑賞されるかたがたからの批評を受けるのは当然ですが、ヤノベさん個人に対するいわれなき非難・中傷はないように、切にお願いいたします」
と要望していた。
像は撤去後に分解され、市で保管する予定
「サン・チャイルド」は東日本大震災をきっかけに、2011年からヤノベ氏が複数制作している。このうちの1体が2016年、同作品の10分の1スケール像と共に、「ふくしま自然エネルギー基金」に寄贈された。
市の担当者によると、同基金から福島市に「寄贈したい」という声があったのは今年に入ってからだという。市へは、像の所有者である「ふくしま自然エネルギー基金」ではなく「ふくしま未来研究会」から寄贈された。別団体からの寄贈になった理由は「詳しい経緯は不明」だと言う。
設置場所がこむこむ前になったのは福島市の判断だ。市西部にある「四季の里」や「十六沼公園」なども候補に挙がったが、「子どもたちに復興のシンボルとして見てもらいたい」という市の意向で決まった。
像の設置に伴い、福島市は除幕式や組み立て費など合計133万円を負担した。撤去には同程度かかる見通しだ。撤去後は、分解した後、市が保管する予定になっている。