社内の表彰制度がパワハラを助長? スルガ銀行パワハラ常態化はスポーツパワハラに通じるという指摘 | キャリコネニュース - Page 2
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社内の表彰制度がパワハラを助長? スルガ銀行パワハラ常態化はスポーツパワハラに通じるという指摘

スルガ銀行のパワハラ問題

スルガ銀行のパワハラ問題

第三者委員会が行った営業行員へアンケート調査では、「ノルマは厳しいと感じたことがある」に「はい」と答えた人が9割、「営業成績が伸びないことを上司から叱責されたことがある」人は7割以上に上る。パワハラが横行しており、

「毎日2~3時間立たされる。怒鳴り散らされる。天然パーマを怒られる。1ヶ月無視され続ける」
「数字がクリアできないなら、『お前の家族皆殺しにしてやる』と言われた」
「『死ね』『給料どろぼう』『出来るまで帰ってくるな』と罵倒される」

といったことが常態化していた。

強力な営業推進政策によって上司から精神的な圧迫がかかり、「何をしてもいい」という意識が蔓延。逸脱行為でも成績が良ければ正当化され、コンプライアンスは機能していなかった。「非常に劣悪な組織風土が出来上がっていた」と報告書は伝えている。

健康社会学者の河合薫さんは、スルガ銀行にあった様々な「表彰制度」がパワハラを助長していたと見る。そもそも表彰制度というのは、頑張っている社員をねぎらう意味があり、それ自体は悪いことではない。だが、それが「成果の証」となり、パワハラで結果を出した人ばかりが昇進し、上の立場になっていったと指摘する。

「パワハラで成果が出るから、誰も止めない」構造に

その構造は、最近問題になっているスポーツパワハラに通じるものがあるという。スポーツ界のパワハラを研究し明らかになっていることとして、次の2つを挙げた。

「自身のスキル向上や勝負に勝つというポジティブな経験が、パワハラを肯定的に捉える傾向を高める」
「コーチや監督の体罰を目の当たりにしながらも、親たちが容認したり擁護したりするケースが度々確認されている」

つまり、パワハラによって成果が上がるという考えのもと、誰もパワハラを止めないという構造が生まれる。すると、

「”パワハラに耐えられない人は弱い人”ということになる。パワハラをすることは強い人を育てるという認識で、パワハラが維持される」

というのだ。スルガ銀行も同様のことが起きていたという。

700人以上のビジネスマンの話を聞いている河合さんは、パワハラで鬱になり仕事ができなくなった人の言葉を紹介した。「最初はパワハラを受けていると認識があるが、毎日会社に行って『お前はダメだこんなことができないのか』とずっと言われ続けると、自分が悪いんじゃないかと思うようになってしまう」という。

河合さんは、「自分がパワハラ上司に認められるためだけに、上司の奴隷と化してしまう」と解説し、「周りの人がそれをどうにか止める仕組みを作らないと、パワハラは無くならない」と警鐘を鳴らしている。

司会の堀潤氏は、自身も怖い上司に育ててもらった感謝の念があると振り返り、「でもダメなんですね、もう」と自戒の言葉を口にした。厳しくすることで伸びるという人もいるため、本当に難しい問題だ。しかし「天然パーマを怒られる」「家族を皆殺しにしてやる」はどう考えてもおかしい。誰もが第三者の目で、冷静に判断する心掛けが必要なのだろう。

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