「残業の上限規制は生産性を下げる」企業の5割、働き方改革関連法「経営に支障出る」
「大きな支障が出る」「やや支障が出る」と回答した人に、経営に支障が出そうなだと考える法案を聞いたところ、トップ3は「時間外労働の上限規制」(66%)、「年次有給休暇取得の義務化」(54%)、「同一労働同一賃金の義務化」(43%)だった。
時間外労働の上限規制は、一部の職種を除き月45時間、年間で360時間とされた。特別な事情があるときでも年720時間、単月では、休日労働を含み100時間未満と決められている。これまで青天井だった残業に一定の規制を設けることで、長時間労働の抑制が期待されるが、企業側からは「結果的にサービス残業の増加で補う状態になってしまうと思う」(金融・コンサル関連/100人~299人)と、効果を疑問視する声が寄せられた。
有休取得の義務化は、10日以上の有給休暇が付与されている労働者が対象。経営者は労働者に、年間で5日間、時季を指定して与えなければならないとされている。これについては、「人員不足の状況で休みの人がいる分、1人の働く時間が長くなると、支払う賃金が上がる。結果、利益を圧迫してしまう」(サービス関連/100人~299人)と、経営への悪影響を懸念する声が挙がった。3位の「同一労働同一賃金の義務化」にも、同様の声が寄せられた。
業種別に見ると、時間外労働の上限規制は商社(74%)と広告・出版・マスコミ関連(80%)で懸念する声が高く、有休取得の義務化は広告・出版・マスコミ関連(70%)とサービス関連業(64%)、同一労働同一賃金はメーカー(62%)で高かった。
「同一労働・同一賃金は優秀な社員から不満が出る」
「就業規則の見直しの良い機会になると思う」(サービス関連/50人以下)「働き方が多様化することで、多くの問題が解決されると思う」(IT・情報処理・インターネット関連/50人以下)など、関連法に肯定的な声もあったが、
「特に能力差があると思われる職場で同一労働・同一賃金は判断が難しい。本当に守れば優秀な社員の不平不満が出るのが目に見えている」(流通・小売関連/50人以下)
「残業の上限や有休を義務化したら生産性が下がる。生産性が下がる分、人を増やしたら人件費が上がる。生産性が下がり、人が増えると、賞与を下げざるを得ない。モチベーションに影響があると思う」(不動産・建設関連/100人~299人)
など、施策の方向性そのものに反対する声も出ていた。来年4月の施行がどのような影響をもたらすのか、労働者だけでなく経営者の注目も高いようだ。