「新潮45」騒動に箕輪厚介氏が言及「出版社として意見があったというよりも、単純に売れるからやっちゃえ、という部分が強い」
LGBTに対する差別的な記事への批判を受け、休刊に追い込まれた「新潮45」。9月25日には新潮社の「Yonda?」という看板に「あのヘイト本」と同社を揶揄する落書きがされたことも話題となった。
同日放送の「5時に夢中!」(TOKYOMX)がこの件を採りあげると、幻冬舎の敏腕編集者として知られる箕輪厚介氏が、新潮社の出版社としての姿勢を批判。同社社長の謝罪文についても
「どこの何が問題だったのか明かにすべき」
と、苦言を呈した。(文:okei)
「出版社として売れりゃいいんだっていうものを、どこまで露骨にやっていいのかっていう問題」
意見を求められた箕輪氏は、「二つあって、一個は」と切り出し、
「(いまの世の中は)多様なものを受け入れるという方向に大きく進んでいるのに、LGBTをこういう風に表現して、その発言自体一つ一つが、ものすごい愚かなものがたくさんあったと思う」
と批判した。
一方で、出版社が担う文化的な要素と、営利企業という部分の難しさにも言及。単純に出版社というものは、「作品を作っているとか文化的な何かを担っているっていう一面がありつつ、単なる営利企業っていう部分がある」と説明。
それでも、新潮社に限らずヘイト表現の本が売れるとみて出版したことは、
「出版社として具体的なオピニオンがあったというよりも、単純に売れるからやっちゃえみたいな。そこの部分が強いですよね」
と糾弾している。
そのため、新潮社の社長が謝罪したのも、「ぶっちゃけ、売上というのを怖がった」ためと見る。多くの作家が「もう新潮では書かない」という発言をしたため、会社としてそれは困ると対応した、という指摘だ。
「出版社として売れりゃいいんだっていうものを、どこまで露骨にやっていいのかっていう問題だと思います」
との見解を冷静に語った。
箕輪氏は、堀江貴文や落合陽一の著書をベストセラーに導く実力の持ち主だ。自身も作家として活躍しており、コメントは出版に関わる者としての矜持を感じる。
「社長の謝罪も、何がどの部分が問題だったのか言ってなくて、ざっくり謝ってるだけ」
また、「言論統制につながるのではないか、という捉え方もできますが?」との質問に対しては、「表現の自由っていう名のもとに、何でもかんでも載せていいのかという問題も同時にある」としつつ、
「正直、今回の『新潮45』はあまりにもお粗末というか。社長の謝罪も、何がどの部分が問題だったのか言ってなくて、ざっくり謝ってるだけ」
「もうちょっと出版社としてしっかり説明を、載せるなら謝るときくらいどこの何が問題だったと認識しているかくらいは言うべきだと思いますけどね」
と苦言を呈した。
新潮社の佐藤隆信社長は21日に公式サイトで、「新潮45」の特別企画のある部分に関して「あまりに常識を逸脱した偏見と認識不足に満ちた表現が見受けられました」と謝罪文を発表している。ただ、箕輪氏の指摘通り、誰のどの発言が問題だったなど具体的な説明には及んでいない。今回の休刊に際しては、
「ここ数年、部数低迷に直面し、試行錯誤の過程において編集上の無理が生じ、企画の厳密な吟味や十分な原稿チェックがおろそかになっていたことは否めません」
と説明していたが、具体的な記述についての言及はなく、後味の悪い結果となった。