マツコ、いじめ探偵への依頼増加に「学校がどこまでやる気があるのか」「悪いことしてる人には何らかの罰則を」
阿部さんの元にいじめの調査の依頼が来るようになったのは、14年ほど前からだという。ネットを使った手口の増加によって学校の対応が難しくなったことが背景にある。
調査では張り込みや聞き込みも行う。ただ、学校には入れないため、いじめに遭っている本人に機器を持ち込んでもらい証拠をとることが多い。ICレコーダーやUSBメモリ型のカメラで、「いつ、どこで、誰に、何をされたか」わかるよう、相手の名前や暴力を受けた箇所、金品なら金額など、具体的に口に出してもらい録音することが大事とのこと。
LINEのグループから一人だけ外したり、ツイッターでなりすましたり、裏アカウントを作って誹謗中傷を繰り返すなどのわかりにくいいじめでは、
「僕らは教育者でも何でもないんで、そういった場合は情報でお金を買う手段もとります」
ときっぱり。得た情報を依頼者に提供し、証拠として学校に突きつけ対処させる。第三者だからこそ、綺麗ごとやしがらみ抜きの証拠集めができるのだろう。阿部さんが扱うのは「学校が隠蔽する事案」で、「悪いことをしている」証拠を、被害者側が集めないといけない現状がある。いじめ探偵が必要とされていること自体が、教育現場の限界を顕しているようで残念だ。
専門家は「報告次第では、二次被害が起こる可能性も捨てきれない」と危惧
意見を求められたマツコ・デラックスさんは、「それで証拠を突きつけたとして、どこまで学校が対処・解決できる」と疑問を呈する。「それで学校がちゃんとできるなら、別にあそこまでしなくたって学校がやってるんだと思うのよ。(学校が)どこまでやる気があるのかわからないし」と指摘していたが、確かにその通りだ。
「だからやっぱりある程度その首謀者とその周辺の、線引きは難しいけど、悪いことしている人たちには何らかの罰則があるってしないと、(いじめは)無くなんないと思う」
探偵のいじめ調査には慎重論もある。教育評論家の石川幸夫さんは「調査でわかることもあるが、教育内容、子供たちの心理面、環境を知らないと、調査の報告次第では余計問題をこじらせる。二次被害が起こる可能性も捨てきれません」と危惧する。
だが、番組に登場したもう1社の大手探偵会社は、「需要があるというか(相談が)増えてきちゃったから」として、いじめ調査をビジネスとして捉え、万全の準備を整えていた。IT専門の部署を配置し、ネット掲示板に書き込む人の心理分析、いじめられている子といじめた子、双方へのアフターケアのためカウンセラーも置く念の入れようだ。いじめを隠蔽するような教育機関より、よほど行き届いている。