東京医大の入試不正受け、受験生の弁護団がクラウドファンディング開始「当事者の多くは20代の大学生や受験生。費用を払えない」
東京医科大の入試不正を受け結成された「医学部入試女性差別対策弁護団」は10月24日、都内で会見を開き、同大に対し、女性受験生ら20数人で成績開示や慰謝料の請求を行うと発表した。
開示結果次第では個別の訴訟も考えられるため弁護団は同日、クラウドファンディングサイト「Ready for」上で、訴訟費用や弁護団の活動費250万円を募るクラウドファンディングも始めた。
今回同大に開示請求を行うのは、2006年から2018年に受験した女性ら。現在も医師を目指して浪人している人、他の職業に就いている人などが含まれる。
弁護団の活動「手弁当で行わざるを得ないのが現状」
Ready for上では、クラウドファンディングを行う理由を明かしている。今後、権利の救済を求める元・受験生が増えると、説明会や個別面談を開く必要がある。また、「社会的な影響や意義が大きい事件であるため、シンポジウムや勉強会・講演会の開催も必要」だという。
訴訟を起こす場合、印紙代やコピー代などの実費や、文献調査の費用などが必要になる。しかし、「当事者の多くは20代の大学生や受験生で弁護士費用を払うことができない」「勉強に集中しなければならず、時間もない」という事情がある。
「請求内容は、1回4万円から6万円の受験料の返還が中心であり、多額の損害金を請求するものではありませんので、大きな経済的利益も見込めません」
弁護団活動資金を当事者に負担させず、「弁護団の手弁当で行わざるをえないのが現状」だという。
「合格していたら人生は大きく変わっていた。正しく判断した結果を知りたい」
弁護団の元には、元受験生から、「女性差別があるとわかっていたら受験しなかった」などの声が寄せられているという。
「何年も受験して不合格だったので、医者になるのを諦めた。自分の能力が足りなかったと思っていたが、このような得点操作によるものだったかもしれないとわかり、本当に悔しい」(元受験生)
「幼いころから医者になりたいという夢を持っていたが、不合格だった。もし合格していたなら、私の人生は大きく変わっていたと思うと、あのときの受験結果を正しく判断したら合格だったのか不合格だったのか、改めて知りたい」(元受験生)
中には、来年以降も医学部を受験する予定があるため、声を上げることが受験で不利にならないか心配する人もいたそうだ。
寄付は一口5000円から可能。このほか、1万円、3万円、5万円、10万円、30万円、50万円、100万円の支払額を選ぶことができる。どの金額でも、お礼として、弁護団からのお礼と活動報告のメールが届けられるほか、希望者は弁護団のフェイスブック上に氏名が掲載される。
寄付は12月28日23時まで受け付ける。目標の250万円に達しなかった場合でも、弁護団に所属する弁護士が必要な費用を自己負担し、受験生の救済活動を継続する予定だ。10月24日19時の時点で、26人から合計20万円の支援が集まっている。