大企業の働き方改革、中小企業にしわ寄せ「サプライチェーン全体でコストをどう吸収するか考えていく必要ある」
水越氏は、経団連の発表するボーナス支給額がもてはやされていることについても苦言を呈する。
「よく経団連がボーナスを発表しますよね。今年の冬は95万円だった。でも、これは経団連のわずか146社のデータなんです。日本には390万社があるので0.0038%のことを言っているんです」
「全産業平均だと38万円ぐらいだし、従業員が50人未満だと26万4000円で前年よりも0.9%下がっているんです」
経団連の調査は母集団に偏りがある。日本の実態を反映してはいない、という主張のようだ。
来年4月に施行される”働き方改革関連法”も、中小企業の負担増加に繋がりそうだ。「残業時間の上限規制」や「有給休暇の5日間の取得義務」を大きな会社が行うと、「そのしわ寄せが下請けに回ってくるんです」と指摘する。
「大企業が働く時間を短くする。生産性を上げる。生産性を上げるということは、上がった分のコストはどこかにいくわけであって、それが今は中小企業が負担しているのが実態」
さらに、「法律ですから、中小企業も働き方改革に対応しなければならない。そういう意味では猛烈なコストが中小企業にかかる。働き方改革に対応するというのはお金がかかること」とも説明。「このコストを誰が負担するんだっていうのは併せて考えていくべき」と問題提起した。水越氏は、「日本は大企業が取引先の労務環境改善に責任を持つ流れになっている」として、
「例えばファーストリテイリングは先月、縫製工場が仕入れる材料の工場もHP上で開示しました。これは間接取引先に対してもユニクロは『チェックしてますよ』っていうサイン。サプライチェーン全体でコストをどう吸収するか、考えていく必要がある」
と述べていた。