若者の結婚率向上に必要なのは「一人暮らしの家」 親と同居だと「自立して恋愛して結婚に至る基盤ができない」
朝日新聞が1月24日、25~34歳の未婚男女を対象に実施した調査結果を発表した。調査によると、親と別居している男性の「交際相手がいる」と答えた割合は32%だったが、同居の人は16%に留まったという。女性も、親と別居している人のうち交際相手がいる人は38%だが、同居の人は25%と減る。
この結果を受け、1月30日の『モーニングCROSS』(MX系)では、ジャーナリストの三木哲男氏が結婚と親との同居の関係性について語った。三木氏は、現在の若者は親との同居率が非常に高く、そのことが結婚率に大きく影響していると解説した。(文:石川祐介)
深刻な若者向け単身住宅の不足「首都圏で家賃5万円以内の住宅が減り続けている」
三木氏曰く、恋愛や結婚に至る2つのハードルは収入と住宅だという。
「正規社員の平均給与は422万円で、非正規社員は172万円です。収入面から結婚の状況を見てみると、年収300万~400万円の既婚率は25%あるけど、300万円以下になると9%まで激減する」
さらに、「いろんな調査で出てるんですけど、首都圏で一人暮らしが出来るようになるには年収400万円ないと無理なんです」とも指摘。「住宅面で独立できないと、自立して恋愛して結婚に至るという基盤ができない」と説明していた。
収入の低さは転職などで変えられる可能性はあるが、個人の力でどうにもならないのが、若者向けの単身住宅深刻だ。
「首都圏で家賃5万円以内の住宅が減り続けている。豪華マンションがバンバン潰している。(低家賃住宅は)ニューヨークは32%、ロンドンは24%、日本は11%しかない。なおかつ、大企業が福利厚生の見直しで、独身住宅や家賃補助を一律カットして全部給与に回している。だから追い詰められているんですよ」
親も老後の介護を期待し家から子供を出さない「両者が持たれ合う形が生まれている」
かつて親と同居する独身社会人は「パラサイト」と呼ばれた。しかし、当時の「パラサイト」は7割が正社員で、やがて独立することが見込めた人たちだ。翻って現在親と同居する人たちは年収300万円以下が大半で、生涯同居する可能性が出てきた。親としても「老後の介護を期待している。だから両方が持たれ合う形が生まれてきている」という。
別居率を上げるための提案として、三木氏は
「非正規の解消。同一労働同一賃金は本当にやらなきゃいけない。一回就職で失敗した人はそこで終わっちゃっている悲劇があるので、新卒一括採用を(卒業後)3、4、5年を新卒とした採用形態に変えてほしい。あとは若者の住宅補助」
が必要だと断言。「都内を歩くと僕らが学生時代に住んでいたボロアパートは激減してますよ」と、若者に厳しい時代への不満を漏らしていた。