失踪した技能実習生に未払い賃金を支払うよう求め弁護団結成 推計42億円、「実習生一人ひとりの権利救済を目指す」
入国管理局は2017年、失踪した実習生2870人を対象に調査を実施。「より高い賃金を求めて」失踪したという回答が約87%はとなっていたが、実際には「低賃金」を苦に失踪したケースが約67%で最も多かったことが判明。昨年11月に野党議員が聴取票を閲覧して集計しなおしたところ、6~7割近い実習生は最低賃金を下回る額しか支払われていなかったことが分かった。
東京新聞が176人分の聴取票を改めて調査したところ、129人は時給600円台以下で働かされていたという。最低賃金法で定められた最低賃金の最低額は鹿児島県の761円で、実習生の大半が最賃以下の給与しか受け取っていない可能性もある。
野党が低賃金や賃金の未払いを追及する中、根本匠厚生労働大臣は昨年12月、実習生への賃金の未払いがあれば是正するよう勧告し、帰国した実習生にも送金させると述べていた。
これを受けて、外国人技能実習生の問題に取り組む弁護士8人は1月30日、「失踪」した実習生の救済に向け弁護団を結成。代表の指宿昭一弁護士によると、賃金の未払いがある場合、1人当たり100万円以上になることが多い。2017年に失踪した7000人以上の実習生のうち約6割に未払いがあるとすると、総額約42億円もの賃金が未払い状態になっているという。
指宿弁護士は、「厚労大臣は事業所に指導して未払い賃金を払わせると言っているが、実際にどのくらい支払われるか心もとない。弁護団は、一人ひとりの実習生の権利救済をするとともに、実際にどのくらいの不払いがあるのか明らかにしていく」と意気込んだ。
弁護団は、初期費用無料で相談に応じる。また実習生がたとえ母国に帰国していても、相談のために来日する必要はないという。