同市の中川智子市長は、社会問題化した氷河期世代の就労支援について「何かできないか」と考え、4月ごろから同市で雇用することを考え始めた。8月には「就職氷河期世代を対象とした採用試験です。ぜひ一緒に宝塚市で働きましょう!!」と銘打って、募集要項をリリース。「事務職3人程度(高卒以上)」の枠に、全国1816人から応募が殺到したという。
その後、今月までに筆記試験、2回の面接などを経て、40~45歳の男女4人の採用を内定した。同市の人材育成課によると、4人のうち2人は現在無職で、1人は非正規雇用。同課の担当者はキャリコネニュースの取材に対し、
「氷河期世代に正規雇用を増していくという目的は達成できたと考えています」
とコメントし、「今後、それぞれの経歴や適性などを見極めた上で、配属部署を決める」としている。
氷河期世代採用の動き、兵庫県内外に広がる
氷河期世代を対象にした採用活動は他の自治体でも行われている。2016年から愛知県が30代に限定して実施。今年4月には対象を44歳に引き上げると発表していた。
また、総務省は今年10月、全国の地方自治体に宛てて発した通知で、氷河期世代も受験できる中途採用試験を盛り込むよう求めた。
これを受けて、宝塚市と同じ兵庫県内の三田市や加西市のほか、和歌山県にも同様の取り組みが広がっている。宝塚市の担当者によると、これら以外の自治体からも「どのような感じで採用活動を実施したか」を問い合わせる電話が相次いでおり、今後の採用活動を見据えて関心を示す自治体が増えている様子がうかがえる。担当者は
「今回の一番の目的は、氷河期世代に強く問題意識を持ち、採用の取り組みが全国に広がっていくことにある。そういった意味でも大きな手ごたえがあった」
と一定の成果を感じているようだ。