上場企業の財務諸表から待遇を探る「これだけもらえる優良企業」シリーズ。今回は、人気フリマアプリを運営するメルカリ(東証マザーズ)を取り上げます。
メルカリ社員の平均年収は820万円
最新データ(2020年6月期)によると、メルカリ社員の平均年間給与は820.6万円。2期前から318万円以上も増えています。
- 2018年3月末:501.9万円
- 2018年6月期:502.2万円
- 2019年6月期:712.1万円
- 2020年6月期:820.6万円
この額には基準外賃金(手当等)および賞与が含まれています。
企業口コミサイト「キャリコネ」に投稿された給与明細によると、大学院卒33歳クリエイティブ職の女性の年収は276万円。基本給が月21万円、住宅手当が2万円となっています。女性は自分の年収に不満を感じており、すべての社員の給与が高いとはいえないのかもしれません。
なお、2021年6月期上期決算説明資料には「一時的な賞与支給が2Qで無くなり」とあり、例年2回支給されていた賞与が減っている、もしくは年俸制に統一されている可能性があります。
メルカリは2013年7月に「メルカリ」のサービス提供を開始し、2018年6月には東証マザーズに上場。売上高は2016年6月の122.6億円から2020年6月の762.8億円へ、4期で6倍以上に伸びています。しかし上場以来赤字が続いており、2020年6月の営業損益は△193.1億円、経常損益は△193.9億円、最終損益は△227.7億円にまで赤字が膨らみました。
2021年6月期は上期の段階で、売上高が前期比46.1%増、営業利益は13.7億円の黒字に。通期予想は出していません。
メルカリ社員の平均年齢は32.4歳
次に、従業員数と平均年齢、平均勤続年数(ともに単体)を見てみましょう。
メルカリ社員の平均年齢は32.4歳。年功序列の会社であれば、ざっくり言うと30歳すぎで800万円超をもらっている人が多いということになりますが、メルカリでは職種や人によって大きく異なるので一概にはいえないでしょう。
- 2018年3月末:652人(30.3歳・1.3年)
- 2018年6月期:756人(30.2歳・1.3年)
- 2019年6月期:1,178人(31.9歳・1.5年)
- 2020年6月期:1,090人(32.4歳・2.2年)
メルカリ(単体)社員の従業員数はここ数期で大きく伸びていますが、2020年6月期は前期より88人減。有価証券報告書によると「これは主に自己都合退職によるもの」とのこと。グループ全体(連結)でも同34人減の1,792人で、こちらも同様の理由だそうです。
なお、メルカリの子会社メルペイが2020年2月に、QR・バーコード決済サービスを展開していた株式会社Origamiの株式を1株1円で取得し、孫会社化していますが、Origamiは売却を前に社員185人のうち160~170人規模の整理解雇を実施したと報じられています。
エンジニアなど幅広い職種の求人を再開
メルカリグループは「マーケットプレイス関連事業」の単一セグメントですが、国内事業は「メルカリ」のほか、スマホ決済サービス「メルペイ」、Jリーグ「鹿島アントラーズ」を運営。海外では、国内と同じオールジャンルのCtoCマーケットプレイス「Mercari」を米国で運営しています。
コロナ下で投資抑制を図っていましたが、2021年に入って採用を再開。採用サイトにはエンジニアを始めとして幅広い職種の求人が並んでいます。
給与については「年俸制、年俸の12分の1を毎月支給」「スキル・経験・能力に応じて決定」「毎年2回見直し」とありますが、具体的な金額については示されていません。年俸制に統一し、一時的な賞与の支給をやめた可能性があります。
気になるのが「自己都合退職」の発生ですが、メルカリは一般的な日本企業とは異なり、終身雇用・年功序列・横並び給与の会社ではないと思われますので、そのあたりの覚悟は必要です。
東京オフィスは六本木ヒルズ森タワー内にあります。グローバルな人材環境の中でキャリアを積みたい人には、魅力的な職場となるかもしれません。
—–