給食の完食を強要され、食べ終わるまで居残りをさせられる”給食ハラスメント”が問題視されている。「残さず食べなさい」がトラウマになり、大人になってからも食事にネガティブな気持ちを抱いている人は意外といるのではないだろうか。ガールズちゃんねるには11月下旬、「『残さず食べなさい』被害者の会」というトピックが立った。
幼少期に親や教師から無理やり嫌いな食べ物を食べさせられた結果、むしろ苦手意識が強まったというトピ主。「食べ物を残さないのは大事なことですが、全ての食べ物を好き嫌いなく食すことは不可能だと思います」と大人になった今でも晴れることのないモヤモヤを吐露した。(文:石川祐介)
「劣等感が染みつき、自己肯定感も低くなった」
「肉がダメな私はほぼ毎日居残り。掃除中も少しずつ食べるしかなかった」
「今でも会食は苦手です。食べたいものではなく、食べきれそうなものを選ぶクセがつきました」
トピ主同様、食事中に苦しんだ経験が多く寄せられ、中には人前で食事することに恐怖感を覚える”会食恐怖症”になったという人もいた。
「いつでも居残りさせられて、劣等感が染みつき、自己肯定感も低くなった」と給食を食べられない自分への劣等感を植え付けられ、自己肯定感を奪われたという声もみられた。
「引き出しの中に隠してた」「食べれないから口に詰め込んでトイレに流してた」とあの手この手で完食したように見せかける”テクニック”も散見された。知恵を絞ってなんとか給食の時間を乗り越えていた、という人も少なくない。
別の子どものトラウマになるケースも
給食ハラスメントは、当事者だけでなく周囲にも悪影響を与える。
「少食の子が無理やり完食させられて、冷凍みかんを苦しみながら食べた後にラーメンが入ってた器に全部戻した。その記憶がずっと残っていて、人が吐くのも自分が吐くのも怖い」
クラスメイトが苦しみながら食べ物を無理やり口に運ぶ姿は、他の子どもたちに対する教育の観点からも不適切だ。
「私も早生まれで、月齢的にみても小柄だったので周りの子より頭一つ分背が低くかった」
「アレルギーは全ての食物に関して検査出来るわけじゃないから、子供が極端に嫌がるものは無理に食べさせない方がいい」
体の大きさや体質などは一人ひとりに食べ物の合う、合わないがあり、これを無視して一方的な”食育”を謳ってはいけない。
「残さずに食べること」は良いことかもしれないが、「食べきれずに残してしまうこと」は決して悪ではない。多様な価値観が認められ始めた現在ですら「残さず食べなさい」という価値観の押し付けに苦しんでいる人は多くいるようで、真剣にこうした風潮を改めていく必要がありそうだ。