名古屋城、ひつまぶし、味噌カツ――。愛知県の名所、名物というと色々思い浮かぶが、残念ながら地元に住んでいる人は「観光はオススメしない」と感じているようだ。
県は1月、県民を対象にした世論調査の結果を発表した。調査は昨年11月に郵送で実施し、県内に住む18歳以上の男女1442人から回答を得た。
「(海外を含む)県外の人に愛知への観光を勧めるか」を聞いたところ、「大いに」(7.8%)、「まあまあ」(40.6%)の計48.5%が”勧める”と回答。一方で”勧めない”とした人は「まったく」(9.1%)、「あまり」(40.6%)を合わせて49.7%と前者をやや上回った。
実は「戦国武将」「乗り物」の聖地 「”ツウ”好みの魅力を発信したい」
回答者を男女別にみると、観光を”勧める”とした人は「女性」(51%)では過半数に至ったものの、「男性」(46.5%)では低い結果に。年代別では「60~64歳」(50.4%)、「65歳以上」(58.1%)と高年齢層では多かった一方、「18、19歳」(34.3%)では約3割にとどまった。
県観光振興課の担当者は「愛知は産業、工業といったもの作りがさかんな地域。外から人が遊びに来るイメージが持ちにくいのでは」と結果を分析する。自動車メーカーのトヨタに代表されるように、輸送用機械の製品出荷額が高い全国シェアを占めることで有名だ。
「観光に来た人に『何が良かったか』を聞くと、グルメと答えてくれることが多いです。でも、県民自身は自分たちが生活している食文化の魅力に気付いていないのかもしれませんね」(同担当者)
県は、2018年から県内外の人を対象にバスツアーを実施。地元の参加者からも「こんな魅力があったなんて」と声が挙がり、県内に潜在している魅力の再発見につながっているという。また、同担当者は
「実は、江戸時代初期の戦国大名の7割は愛知出身なんです。このほか、日本で唯一リニアモーターカーが走っていたり、トヨタの博物館があったり。今後は『武将』『乗り物』をテーマに、こうした”ツウ”好みの魅力を発信したいと思っています」
と力を込めている。