投稿者の思い描く生活は、あくまでも”妻も正社員の収入”が前提のようです。投稿者は40代前半で年収が650万円、妻は30代前半で年収500万円とのことでした。
さらに「子どもの世話だけをするのとお金を稼ぐのとどちらが大変か。それはお金を稼ぐことです」とも書いており、投稿者の「子どもよりお金が大事な人」という印象はぬぐえません。
この相談の回答欄には「今の時点で赤字なのが最大の問題」などと夫の金銭感覚を含めた批判が相次ぎました。また、中には
「妻に対する思いやりも不妊治療に対する理解もなさそうだし、わざわざ治療してまで子供持つ必要ないんじゃないかな。(中略)奥さんにはもっといい人見つけてもらったら?」
と不妊治療どころか、離婚を薦める声も。「仮に妊娠出産したとして、ツワリは甘え。産後に里帰りはダメ。とか言い出しそう」とモラハラを予測する人もいました。
さらに、他の回答者からは「不妊治療は会社を辞めないと難しい」「精神的、肉体的にキツイ思いをするのは女の方」という指摘もありました。比較的初期は仕事をしながらでも通院可能ですが、段階が進めば「週3回病院」「受精卵を体内に戻し安静にするのに半日必要」などもあります。
女性の身体の状態を見ながらの治療は、必ずしも予定通りにはいくとは限りません。仕事を頻繁に休めば、職場に気を遣って、かえってストレスがたまることも考えられます。
どちらにせよ、不妊治療には2人の協力が不可欠です。もし仕事を続けながら妊活や子育てをするなら、夫の家事・育児への協力は必要になります。回答欄には、それを分かっているのかという疑問も多数挙がっていました。
働きながら不妊治療、経験者の約96%が「両立は難しい」と回答
一方で「辞めないほうがいい」という意見もあります。「不妊治療にもお金がかかる」「子どもが大学に行くころには60~50代になっている、いまのうちにお金を貯めておいたほうがいい」という助言です。「1か月は様子を見ては?」というアドバイスもありました。
確かに、再就職では年収が下がったり、出産後は非正規雇用になる女性が多いのも事実です。今の時代、正社員を続けたほうがいいという考え方も理解できます。
2017年にNPO法人Fineが実施した仕事と不妊治療に関する調査によると、働きながら不妊治療をしたことのある人の95.6%が「両立は難しい」と回答しています。うち、働き方を変えた人は約40%、「退職」を選んだ人は半数にのぼっていました。
厚生労働省は、企業に不妊治療をしながら働き続けられる環境整備を求めており、社会的にも理解が進むことが理想です。何より、パートナーである夫には「不妊治療は楽をしたいための方便」などと思ってほしくはないものです。