ログラスが「第二新卒」を積極採用 市場シェアNo.1プランニングクラウドのさらなる普及で経営管理の革新を支援
2019年の創業以来、企業の経営管理領域における革新的なSaaSスタートアップとして急成長を遂げてきたログラス。創業メンバーの実務経験や強い課題意識を原動力に、現在は従業員数200名規模に成長しています。
2024年には70億円のシリーズB資金調達と、ブランドコンセプトの再定義やリブランディングを実施。そんな同社はいまどのポジションで、どのような人物を求めているのか。同社人事の中島翼さんに話を聞きました。(文・構成:キャリコネニュース編集部)
「マルチプロダクト戦略」で総合プラットフォーム化を目指す

インタビュイー:ログラス 人事 中島 翼 パナソニックのエンジニア、人事(技術系新卒採用)、サイバーエージェントの人事(エンジニア中途採用)、事業広報・PRを経験後、2025年よりBiz採用室でビジネス職の中途採用を担当。(写真は東京・三田のログラス本社オフィス)
――御社は現在どのような事業を行っていますか。
当社が開発提供しているクラウド経営管理システム「Loglass」は、企業内に散在する予算・見込み・実績・KPIなどのデータを一元管理し、収集から分析・可視化・レポーティングまでを一気通貫で効率化する予実管理SaaS/PaaSです。
主力製品の「Loglass 経営管理」は、富士キメラ総研「ソフトウェアビジネス新市場 2024年版」で予実管理SaaS/PaaS市場におけるシェアNo.1、未来トレンド研究機構「国内経営管理クラウド・ツールに関する市場調査 2024」で累計導入社数と年間新規導入社数(無償提供を除く)でそれぞれNo.1の地位を獲得しています。
予算や計画など未来の予測データをクラウド上で管理し、実績データと突合して分析することで、適切な意思決定を支援します。これを当社ではプランニングクラウドと呼んでいます。基本的にはPDCAサイクルの高度化で、計画をしっかり策定し、進捗状況を見ながら問題や課題を早期発見し対策を講じて、計画の実現を着実に進めることを可能にします。
いわば「経営管理のラストワンマイル」を担う存在として、基幹システムから出力される膨大なデータを基に、予算策定やシミュレーション、部門別集計などをクラウド上で一元管理し、変更履歴や承認フローも自動化。経営企画やCFOの意思決定に直結させています。

ログラスが実現する経営管理の高度化
――現在どのような戦略方針で事業を進めているのですか。
2024年7月、シリーズBの資金調達時に「マルチプロダクト戦略」を掲げ、経営企画・管理部門のあらゆる業務課題をワンストップで解決する総合プラットフォーム化を進めています。
プランニングデータ管理のフレームワークは他領域への横展開の余地が大きく、例えば「人員計画」では、将来の各部署に必要な人員数を予測し、コストを算出して経営管理と統合できます。当社製品は経営の根幹に深く関わるため、お客様の課題やインサイトをキャッチする機会も多く、そこからニーズを発見して新規事業を展開することも多いです。
また、「AI×経営」といったビジョンも掲げており、AI関連のプロダクトへの本格投資も決定しています。マルチプロダクト戦略の中で、経営管理とは異なる領域のプロダクトが生まれる可能性もあります。現在も「0→1フェーズ」の事業開発が次々と生まれ、20代の若手メンバーが新規事業責任者として活躍しています。
一方で、プランニングクラウドの市場は、まだまだ創成期です。隣接する財務会計分野と違い、企業の経営管理は表計算ファイルで行うことが主流です。経営管理をクラウドで行う市場は、まだ限定的であるため、これをスタンダードにするための認知獲得が重要な課題となっています。
圧倒的な成長に向けてポテンシャル採用を強化
――現在どのようなキャリア採用に注力していますか。
まず、「マルチプロダクト戦略」や「AI×経営」を進めるプロダクト開発を行う人材を募集しています。PdMやデザイナー、WEBアプリケーションエンジニアを中心に採用しています。特にエンジニアには高いスキルを求めており、技術面での即戦力をターゲットとしています。最近では海外人材の採用も進めており、インドに開発拠点を設置し、高レベルのエンジニア採用を行っています。
あわせて、営業職の採用にも力を入れています。当社の営業部門はザ・モデル型の分業体制を採用し、リード獲得を担うマーケティング、ナーチャリングから商談獲得を担当するインサイドセールス、クロージングを行うフィールドセールス、受注後のオンボーディング支援を担うカスタマーサクセス、定着後の支援を行うアカウントマネージャーといった職種で構成されています。
SaaSビジネスの売上拡大は営業リソースに比例するため、高い成長曲線を実現するべく、特にフィールドセールスやインサイドセールス職の採用を強化しています。
この方針を踏まえ、現在は採用目標を約2倍に拡大し、採用ターゲットを法人営業経験のある第二新卒まで広げ、ポテンシャル人材の採用を本格化しています。創業以来、当社は即戦力人材を中心に、採用・育成コストを抑えた採用活動を行ってきました。しかし現在は、入社後のオンボーディングやイネーブルメントに積極的に投資する方向へと転換しています。

マルチプロダクト戦略に基づく事業目標
――ポテンシャル採用はどのような基準で行っていますか。
まずは「課題解決志向」であるかどうかです。当社は成長角度が大きくスピードも非常に速いので、通常よりも頻繁かつ同時多発的に課題が発生します。目の前の課題を自分で分析し、課題設定から本質理解、ソリューション創出まで求められるのは、経営陣やマネジメントだけでなくメンバーも同じです。
「仕事へのスタンス」も問われます。組織の成長段階には、一人ひとりのミッションも大きく変化する可能性があります。人事を例に説明すると、「組織人事をやりたい」という個人的な希望があったとしても「今の事業フェーズは、トップラインを短期間でどれだけ伸ばせるかが勝負。採用が最重要課題だ」と理解して取り組んでもらう必要があります。
事業の課題や会社の方向性を踏まえて、自分のミッションを柔軟に変更できる「柔軟性」や、ネガティブな状況で自ら立ち上がって再起できる「レジリエンス」といった能力は、ポテンシャル層では特に重視しています。
「ログラス・マフィア」として独立することも歓迎
――ポテンシャル採用の人たちに対する支援策はありますか。
第二新卒採用の本格化とともに、ビジネスサイドの横断部署「経営戦略部」を組成し、専任のオンボーディング担当者を配置しました。最大の課題として捉えたのが「経営管理」の特殊性です。通常の会社員経験では、経営企画やCFO直下、代表との協働経験がある人以外は、経営管理は触れにくい領域だからです。
一方、当社のお客様はCFOや経営企画といった、高度な専門性を持ったプロフェッショナルです。彼らに対してポテンシャル層がコンサルティング的な提案を行うためには、知識の壁にぶちあたりやすく、キャッチアップするために数多くのコンテンツを作成しています。
特にインサイドセールスでの第二新卒採用には、経営戦略部がハンズオンで入り、オンボーディングコンテンツやメンター制度を構築しました。日本のエンタープライズ企業の経営管理に触れられる機会は、当社だけが提供できる貴重な経験だと考えています。

経営管理の役割とプロセス
――高い意欲があれば未経験でも経営管理に関する知識が得られそうです。
当社は「良い景気を作ろう。」をミッションに掲げており、当社のこれまでの製品もこれから新しく生まれる製品も、このミッションの実現に向けたものになります。加えて、当社で経営管理や営業を学んだ人たちが「ログラス・マフィア」として独立して強い会社を作ることも、このミッションに合致すると考えています。
社員には、当社で活躍し続けてほしいとは考えていますが、一方で、当社は事業創造や起業家輩出企業となることも目指しています。この思いに合致する方で、当社で働くことを通じてさまざまなスキルを身に着けて独立を考えている方であれば、よい環境になると感じています。
面接で問われる「組織に熱狂しながら働けるか」
――現在大きな割合を占める採用チャネルはどこになりますか。
社員の紹介によるリファラル採用が約4割を占めているのが特徴です。これはおそらく他社と比べてもかなり大きな割合だと思います。入社時のオンボーディング研修で、リファラル採用の重要性が伝えられ、全社員が自分の知人・友人をリストアップする「メモリーパレス」という取り組みがあります。
月1回のミートアップイベントでは社員が友人をオフィスに招待し、会社紹介や交流の場も設けています。採用活動への貢献は評価制度にも組み込まれており、年2回の全社表彰イベントではリファラル採用に貢献した社員が表彰されるなど、採用活動が組織文化の一部となっています

ログラスの「6つのバリュー」
――採用にあたってカルチャーフィットは重要そうですね。
当社には行動指針として「6つのバリュー」があり、どのレイヤーにもこれらの体現を求めています。具体的には「Feed Forward – すべての行動は、未来への前進のために」「But We Go – どんな壁でも、必ず越える」「Fail Fast – 爆速で挑戦し、失敗から学ぶ」「Moon Shot – 夢を掲げる。高みへ挑む」「Customer Win – お客様と、ともに勝利する」「Clean Fight – 正々堂々と、闘う」というもので、候補者には面接時に説明しています。
共通するのは「組織に熱狂しながら働けるか」ということです。当社は「コミットメント型」の組織設計をしており、帰属意識の源泉は仕事やお金ではなく「会社やチーム」、管理・運営は制度や監視ではなく「ピア(仲間)や文化」を重視しています。
採用基準では「フィット」(組織との相性・価値観の一致)を重視し、実際の選考でも、例えば学生時代の部活でも構いませんが、これまで組織やグループで熱狂した瞬間や経験があったかどうかを尋ねています。

カルチャーが浸透する仕組づくり
また、従業員が急増し、新卒入社や外国人社員も増える中で、競争力の源泉となる「組織文化」をさらに強化する取り組みを行っています。最近も「Talent Growth室」というカルチャー推進専任部署を新設し、スタートアップでは後回しにされがちなカルチャー醸成を推進する社長室直轄の専任担当者を配置しています。
専任担当者の選出にあたっては当社初の社内公募を実施し、産休・育休から復帰したメンバーが選ばれました。主な役割は、バリュー体現を促進する仕組みの企画・運用や、カルチャーイベント全体の設計・ファシリテート、組織横断的な価値観の共通言語化と実践支援などです。


