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レシート買取騒動で話題になった“高校生CEO”が語る、理想のチームとは?「四次元ポケットみたいな会社にしたい」

【山内 奏人】ワンファイナンシャル株式会社 代表取締役

【山内 奏人】ワンファイナンシャル株式会社 代表取締役

レシート買い取りアプリ『ONE(ワン)』のローンチで注目を集めたワンファイナンシャル。アプリは公開1週間で45万ダウンロードを記録、そしてわずか16時間でサービス停止を余儀なくされるなど、人々の予想を超える大きな反響となりました。

あれから1年。今春、高校を卒業した起業家は、いまの世の中をどう見て、新たにどのようなビジネスを仕掛けようとしているのでしょうか。自分の信じる道を突き進む、ワンファイナンシャル 創業者・CEO 山内奏人氏に話を伺いました。

サラリーマンの両親には感謝しているけど、「普通のサラリーマンには絶対なれない」と思った

—— 山内さんはどんな幼少期をすごされていたのですか?

小学生時代の話をすると、僕は苦手なことが多かったんですよ。テレビゲームは下手でしたし、本を読むのも好きじゃなかった。スポーツも苦手でした。昆虫を見るのは好きでしたけど、途中から飽きてきちゃって。

そんなあるとき、父からお古のパソコンをもらいました。ヒマでやることがなかったので、独学でプログラミングを勉強したらハマってしまって。毎日ひたすらやっていました。当時から「将来は何かしらのスキルがずば抜けて高い、いわゆる“能力者”のようになれたらいいな」とは思っていましたね。

—— お父さんの話が出てきましたが、どんなご家庭で過ごされていたのですか?

普通のサラリーマン家庭です。僕は、両親を尊敬しているんですよ。1 日 3 食のご飯が食べられて、暖かいところで眠ることができた。生活に困ることはなかったですから。

でも、僕は同時にいろいろなことを考えてしまう性格で。集中力がないですし、1 時間以上座っていられないんです。だから、「普通のサラリーマンには絶対になれない」と思っていました。じゃあ、自分がなれるもの、やりたいことは何かを考えたときに単純に「自分で会社を立ち上げる」というのが楽しそうだなと思えたんです。

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—— とはいえ、なぜ実際に「起業」という大胆な意思決定ができたのでしょうか?

僕の意思決定の根底には、 “無常観” があります。世のなかには、いろんなスタートアップや事業、人が存在していて、常に生まれては消えていくわけじゃないですか。ずっと存在しているものなんてない。

それであれば、「楽しいか、楽しくないか」を判断基準にしたいと思っていて。その行動をしたことで何が得られるか、楽しいと思える回数が何回あるかを基準に意思決定をしているため、起業するというのも楽しそうだと思えたから決断しました。

誰でもできる仕事をがむしゃらにやるから、つまらなくなる

—— 山内さんの考える理想の職場とは、どういったものですか?

価値観を共有したメンバーたちが、最低限のリソースで最大限のパフォーマンスを発揮する組織です。うちは全員が能力者のような集団。上場するまでに 30 人以上の社員を採用する気はありません。

言葉は悪いですけど、疲れた顔をして満員電車に乗っている人ってたくさんいますよね。そういう光景を見るたびに、「大人って楽しくなさそうだな」と思います。仕事って、誰にでもできることをがむしゃらにやるとつまらない。自分が会社にいる理由すら見失ってしまいます。

なぜ仕事にやりがいを見出せない人が多いかというと、日本の新卒一括採用だと、思想よりも学歴が重視されるケースが多いから。学生も何十社、何百社も受けるわけで、必ずしも企業文化に魅力を感じて応募しているわけではない。そうなると、企業の文化とその人の持つ価値観のマッチングって難しいのかなと思っていて。

—— では、山内さんは個々の価値観にフィットした組織づくりをしたい?

会社の思想と個人の思想が合っていないと楽しくないし、メンバーのスキルも活かせないと思います。僕はその人の人間性を見極めて最適な配置をしたいですし、一方的な評価をつける気も一切ないです。それにうちの会社って、全員が同じ給与レンジなんですよ。

うちの社員は全員スキルが違いますし、全員が属人性の高いタスクをやっている。何がどれくらい売り上げに寄与しているかなんて正直わからないんですよね。だから評価しようがないんです。

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—— 言うなれば、全員がエースなのですね。

うちは会社の業績が伸びると、全員の給料が上がるようになっています。全員にストックオプションが付与されているような感覚です。

そうすることで「どうしたら会社が伸びるか」をみんなが考えるようになる。全員にメリットがあって当事者意識を持てるから。一人ひとりのタスクが違っても、評価制度がなくても、会社はしっかりと回っていくんです。

だからこそ、価値観の合わない人は絶対に採用しないですし、自分より優秀な人を採用します。いまの CTO も、他企業だともっとたくさんの年収を稼げますけど、頑張って口説き落としました。

シリアルアントレプレナーではなく、パラレルアントレプレナーになりたい

—— 今後は『ONE』以外の事業展開も視野に入れているのでしょうか?

そうですね。いまは自分たちが持っているデータを活用した複数の事業を準備していて、toB 向けにテクノロジーソリューションを提供するサービス、toC 向けに E コマースサービスを考えています。もちろん、『ONE』も引き続き伸ばしていくつもりです。

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—— 具体的に、toB 向けの事業内容を教えていただけますか?

企業向けの AI モジュールって、過渡期に差しかかっていると思うんです。でも、そのなかでも汎用性の高いものって実はそんなにない。そこを狙っていきます。RPA に近い領域で、企業向けにテクノロジー支援をしていくような事業です。

—— toC 向けの事業については?

toC 向けのコマースって、経済圏が分散していくにつれてコマースも分散していくと思っています。たくさんのサービスが出てきているなかで、「現代に合った、面白いコマースとはなんだろう」とひたすら考えている感じですね。

たとえば、購買スタイルの価値観が変わってきていて、体験ベースの購買が徐々に増えてきていますよね。要は、作り手のストーリーが見えるものは購入されやすい。そういう領域で何かできないか模索しています。

—— ストーリーのある購買とは、どういったものでしょうか?

たとえば、最近、大手宝石メーカーが人工ダイヤモンドの販売計画を発表して話題になりました。天然ダイヤモンドって採掘がすごく大変で、アフリカでは紛争の原因にもなっていたんですね。

そこで宝石メーカーが「人工でも天然ダイヤモンドと同じくらい綺麗なものができるなら、辛い労働や紛争をしなくてもいいよね」というストーリーを打ち出しました。最近の購買傾向を見ると、こうした意思決定を肉付けする「何か」があることが大事なんだと思っています。

—— 複数の事業展開を考えていると、毎日が決断の連続ではないかと思います。苦悩や葛藤を感じることはないのでしょうか?

苦悩や葛藤は、あまりないですね。僕は過去に何度か事業を潰したこともあるし、それこそ最初にインターンをした dely の人たちも失敗してもそれを客観視して「じゃあ、次どうしようか」と切り替えている人たちが多かった。失敗を客観視しないとやはり事業は上手くいかないので、淡々とやることを意識しています。

というのも、僕はシリアルアントレプレナーよりはパラレルアントレプレナーになりたいんです。並行していろんな事業を伸ばした方が相乗効果が生まれるし、1 つの事業しかやっていないと失敗したときにリスクも大きい。3 つの事業を展開して 3 つともしっかり売上が伸びていけば、その分リソースも無限大になっていくので、これからも複数の事業を展開していきたいと思っています。

「目指すは四次元ポケットのような会社」個々がバリューを発揮して成果を出せる組織へ

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—— 事業を進めていく中でどんな人と一緒に働きたいですか?

うちの会社って、いい意味でゆるいんですよ。できるだけ働かずに最大のパフォーマンスを上げようという価値観がある。そこに共感してくれる人じゃないとキツいと思います。

たとえば、めちゃめちゃ働くのはいいんですけど、がむしゃらに働くのはよくない。最低限のリソースで最大限のパフォーマンスを上げることを集中してやらないと、効率のいい働き方はできないので。たった 4 人で数十万人が使うサービスをつくったり、毎月コンスタントに売り上げを伸ばせているのは、そういうことを意識しているからだと思います。

一般的に、「会社を伸ばすには、属人性の高いタスクをできるだけ減らすべき」という考えがあります。でも僕の考えはそれとは全く逆で、その人にしかできないことを持っている能力者に集まってほしいんです。そういう人が 30 人ぐらい集まれば、いろいろなプロダクトを急成長させられる。きっと最強のチームになれると思います。

あと、僕はドラえもんの世界観が好きなので、面白いアイデアを持った人だといいですね。「どこでもドア」みたいな秘密道具をひとつずつ作っていくような会社って楽しそうじゃないですか。

そういう意味では、四次元ポケットみたいな会社にしたいんですよね。そこに共感する人が集まって、みんなで面白いものをつくれたらいいなと思います。

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