東大卒、三菱商事に入社 「エリート街道」を歩んでいた彼が突然、ベンチャーに転職したワケ 「本気で世界を変えようとしていた」
—— 日本のプレゼンスを上げたくて商社に入ったと伺いました。なぜ日本のプレゼンスを上げたいと思ったのでしょうか。
僕は日本人としてのアイデンティティーがもともと強かったんです。 経済学部で勉強していると「Japan as No.1」と言われていた高度経済成長期に比べると日本のプレゼンスが落ちていることがよくわかる。 ポリティカルな面でもそうですよね。それは日々のニュースを見れば明白です。
それに加え、僕は映画やサッカーが好きで。 映画で言うと 1950 年〜1960 年代は黒澤明監督のような巨匠がいて世界に誇るクオリティを保っていましたが、 最近の日本の映画業界は全然元気じゃない印象で。
サッカーも同じ後進国の韓国は当時強かったのに日本は弱くて、悔しく思うことが多かったんです。 そういった個人的な想いから、次第に「仕事をするなら日本のプレゼンスを高めたい」と思うようになって、 それでグローバルにビジネスを展開している三菱商事に入社しました。
—— なるほど。三菱商事ではどのようなお仕事をされてきたのでしょうか?
入社してエネルギー事業グループに配属となり、財務や会計などを担う管理部門の仕事を任されました。
「管理部門の仕事」と言うとカッコよく聞こえるかもしれませんが、 実際は末端の若手担当の一人として粛々と資料を作成したり、Excel ワークをしていたので結構泥臭かったです。 ただ、将来の日本のエネルギー需給を支えるプロジェクトに関われることにはやりがいを感じていました。
—— そんな中、なぜユーザベースに転職することになったのでしょうか?
あるセミナーに参加したことがきっかけです。そこでユーザベースの創業者である新野さんが 「日本から世界に通用するサービスをつくる」と熱く語っているのを聞いて、ユーザベースのファンになりました。
「世界を変える」と言っているスタートアップは多いですが、 ユーザベースの経営チームやプロダクトを見ていると説得力があって。 「本気で世界を変えようとしているんだな」「本当に世界を目指せる企業だ」と思ったんです。
それに、日本発で世界に誇る会社はいくつもあるけど、 ここ 10 年、20 年の時間軸ではそういう会社は生まれていない。 すでに大きな会社をさらに大きくするよりも、 次のトヨタやユニクロになるようなグローバルカンパニーを新たに生み出していく方が希少性が高いし、 日本にとって価値があると強く感じました。
そこからユーザベースのオフィスに遊びにいったり、 社員と飲みにいくようになったりと、いちファンとして 1 年くらい横からユーザベースを眺めていたのですが、 1 年経つころにはユーザベースの急成長が目に見えて分かりました。
『SPEEDA』は以前と比べても英語版のデータ増強もされるなど、 グローバルで挑戦できるプロダクトになっているし、実際に海外にも拠点を広げ、グローバル展開をはじめている。 「このタイミングを逃したら絶対後悔する」そう思い、すぐに NewsPicks 取締役の坂本さんに電話をして「ユーザベースで働きたいです」と伝えました。
これはあとから聞いた話ですけど、当時の僕は専門性やエッジがなく、 坂本さんは断ろうと思っていたみたいなんですね(笑)。 でも、電話で断るのも失礼だからカフェで会おうということになって。
そこで僕が「ユーザベースを世界一にしたい」とあまりにも必死に語るので、 「そこまで言うなら『SPEEDA』の営業としてやっていけるかもしれない」と思い、 営業として採用ルートにのせてくれたそうです。 僕としては人生初めての営業でしたが、自分の存在価値を示すためとにかく必死でした。
「渦中の友を助けること」みんなの手が回らない仕事を率先して引き受けてきた
—— ユーザベースに転職してから半年でマネージャーに就任していますが、何が評価されたと感じていますか?
後回しにされやすいけど重要な仕事に率先して取り組んだことだと思います。 例えば、僕がユーザベースに入って最初に感じたのは、 「営業会議の雰囲気が暗いな」ということでした。 そもそも、営業会議って月曜の朝早くからみんな眠い中で数字の話をしているので仕方ないんですけど(笑)。 とはいえ「もうちょっと明るくできないかな」と思って、 会議のオーナーになってアジェンダを変えたりしながらより良い形を模索しました。 入社してから半年の間にそういったことがいくつかあって、少しずつ信頼してもらえるようになり、 「山中に任せてみよう」ってなったんだと思います。
—— とても大事なことですね。マネージャーになってからはいかがですか?
セールスサポートチームにバンドマンのマネージャーがいるのですが、 色んなプロジェクトが彼のもとに一気に集まり、凄く疲弊してしまった時期があって。 前々から「FUJI ROCK に行きたい」と言っていたので、繁忙期ではありましたが、 当社のロングバケーション制度(連続 7 日間の休みを年 2 回取得できる)を使って思う存分楽しんでもらいました。 その間、セールスからの見積りや契約書の作成など全部引継ぎました。
マネージャーだろうが、COO だろうが、 役職がついてもそのスタンスは変わらずに持ち続けたいと思っています。 どうしても後手にまわってしまうような、 リソースがなくて誰もやれないようなことを引き受けることがマネージャーや責任者の仕事だと思っています。
—— ご自身の業務もあって大変だと思うのですが、リソース的に大丈夫だったのでしょうか?
はい、なんとか(笑)。 ユーザベースには7 つのルールというグループ共通の価値観があって。 その中に「渦中の友を助ける」というのがあるんですね。忙しい時ほど周囲を見回し、自分以上の渦中にいる人を助ける。 この価値観が好きで、いつも意識しながら業務に取り組んできました。
僕は「これがやりたい」というより、「自分にしかできないこと」や「自分に求められていること」にやりがいを感じるタイプ。僕がユーザベースに入った理由は「ユーザベースを世界一の会社にすること」なので、 ユーザベースの「経済情報で、世界を変える」というミッションに繋がるものであれば、 他の人がやりたがらないことであろうと抵抗がないんです。 ミッションを 100%自分事として捉えることができているのも、 マネージャーや今の役割を任せて貰えた大きな要素なのではないかと思っています。
くすぶっている人たちのロールモデルになるために、僕はできることをひたすらやり続ける
—— 日本のプレゼンスをもっと高めていくためには何が必要でしょうか?
ロールモデルがまだまだ少ないと思います。 1 つは会社としてのロールモデル。Google のような会社が日本にあれば、みんなそこを目指すと思うんです。 トヨタやユニクロなど、世界に誇る日本企業は多数あると思いますが、この 10〜20 年は生まれてきていない。 そんな今、ユーザベースが世界一の会社になれば、 他のスタートアップ企業が勇気を持ってどんどん挑戦していけるような世界をつくっていけると考えています。
2 つ目は、個人としてのロールモデルだと思います。結局のところ会社を支えているのは人。 アメリカではスティーブ・ジョブズみたいな起業家がどんどん出てきて偉大な会社をつくり、 そんな起業家=ロールモデルを目指して優秀な人がどんどんチャレンジしている。
日本では、そのロールモデルが非常に少ないと思います。 起業家は少しずつ増えてきている気がしますが、僕みたいに新卒で大企業に入ったあと、 もっとチャレンジできるはずなのにそこから一歩を踏み出せていない人は多い。
三菱商事には本当に優秀な人が多かったし、働いていて楽しかった。今でも大好きな会社です。 でも、120%のパフォーマンスを発揮しているのは、ごく一部の人たちでした。 大きな組織の中では、様々なルールの中で、自由に挑戦しきれない環境も少なからずありますし、 頑張っても評価されないこともある。
でも、もし個性を出しきれずにくすぶっていて、 60%のパフォーマンスしか発揮できていない人たち全員が 120%の力を発揮したらすごいことになりますよね。 だから、大きな企業の中でチャレンジしたいという意欲を持っているけど 自分の力を出しきれていない人たちのロールモデルに僕はなりたいと思います。
—— 山中さんにとってロールモデルとなる人はいますか?
僕はミッション共感型の人間なので、「あの人みたいになりたい」というのはあまりないかもしれません。 それよりも「経済情報で、世界を変える」「ユーザベースを世界一の会社にする」 というミッションの実現の方が重要で。 自分はそのための最短距離を追うことをひたすらやりたいと思っています。
もちろんミッションだけでは明確な自分の未来像は描けないかもしれません。 でも、ユーザベースにきてから 4 年間ひたすらに自分のできることだけをやってきたからこそ、 いまの自分があると思っています。
だから、これまで自分がやってきたことは間違っていなかったんだと思います。 いま自分ができる 120%を必死にやり続けていれば、 3 年後はいま自分が想像もしていないようなことをやっていると思うんです。
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