【ニートの現状まとめ】日本国内に57万人 海外と比較してどうなの?
ニートとは、もともとイギリスの労働政策で使われ始めた用語で、「Not in Education, Employment or Training(教育期間、勤務先、職業訓練のいずれにも属していないこと)」の頭文字をとったものである。本来、15歳から34歳までの非労働力人口のうち家事も通学もしていない人を指すが、35歳以上の非労働者をニートと呼ぶこともある。もっとも、働いていない人の中でも専業主婦・主夫は一般にニートに含まれない。
日本では「働けるのに働く意思がない人」という認識が強まり、引きこもりと同義と誤解されることもしばしばあり、世間からの印象があまり良くない。しかし、過酷な仕事の中で心を病んでしまったために働きたくても働けない人も多いのが実情である。【→もっと見る】
日本にニートはどれくらいいる? 海外より少ない割合
内閣府が実施した調査によると、日本にはいわゆるニートと呼ばれる人たち(15歳から34歳までの若年無業)が2016年で約57万人存在する。総数的にニートの数は減少してきているものの、少子高齢化の影響により全体的に若者の数が減ってきているため、割合は2010年頃から変わっていない。むしろ割合的にみると微増傾向にある。
若年無業者が求職活動をしない理由は、いずれの年代でも「病気・けが」や「勉強」が多いが、それ以外の理由だと、「知識・能力に自信がない」「探したが見つからなかった」「希望する仕事が見つかりそうにない」という回答が比較的多かった。
OECDのデータによると、日本における15歳から29歳のニートは2015年で10.1%だった。OECDの平均は14.7%のため、諸外国よりは低い。ちなみに、ニート率上位国にはトルコ(30%)、イタリア(27%)、ギリシャ(25%)、スペイン(23%)などがある。
しかし日本は求職活動をしていないニートの割合は諸外国よりも高い。日本では3分の2以上のニートが仕事を探していない。これはOECDの数値には就学・就業をしていない専業主婦が含まれているためである。日本では「家事をしていないこと」をニートの1つの要素としており、日本の定義でみると、ニートの数はさらに少なくなると見られる。【→もっと見る】
「ニート=害悪」と捉えるのは間違い
働かない、働けない理由は人によって異なる。「ニート=害悪」の図式で捉えるのではなく、働きたい意思があるのか、働けない事情があるのかを確認して、若者が働きやすい社会を構築することが大切だ。「ニート」だからといって一方的に非難するべきではない。最近はNPO法人などで、ニートを支援する動きも活発化している。現在ニートの人も働きたい意志があるなら前向きに就職活動を行えば、現状を変えていけるだろう。
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