「キモくて金のないオッサン」は自己責任? どうしたら「救済」されるのか
ツイッターでの投稿をきっかけに、「キモくて金のないオッサン」というフレーズがネットで話題になっている。キャリコネニュースでも、5月31日に「彼ら『弱者男性』に居場所はないのか」と記事として取り上げている。
6月17日にはTOKYO FMの報道番組「TIME LINE」で、「キモくて金のないオッサン」の特集が組まれた。編集者の速水健朗氏と、投資家のやまもといちろう氏が「救済の手立て」について議論を行った。
ネットで目につく厳しい「自己責任論」
「救済」がテーマになっているのは、女性や子どもの貧困が社会問題化される中で、「キモくて金のないオッサン」という中年男性層の困窮がしばしば「自己責任」で片付けられてしまうからだ。前出の記事でも、ニコニコニュースやBLOGOSのコメントでは、「オッサン」に対して厳しい意見が多く見られる。
「そこまで困窮する前にどうにか出来んかったのか? せめて幾らかでも貯蓄しとけばよかっただろうに、若い頃は金遣い荒かったんじゃねーの?」
「結果を残せなかったらから40代でクビ、もしくは会社の倒産の原因になったって事。もっとがんばりやー」
「自分の蓄えが無くなったら、基本的には死ぬことを考えるでいいんじゃないの?」
こんなふうに「救われない」のはなぜなのか。番組でやまもと氏は、職がない、身寄りがない、キモい、金がないなど「自己肯定のパーツ」がないオッサンほど弱者になりやすいと指摘する。
「カワイイ動物は、絶滅危惧になったときに支援されやすい。アトラクティブ(魅力的)な社会的属性があればあるほど『あなたは弱者ですね』と認められやすいんです。(キモくて金のないオッサンは)可視化されても救済されない」
速水氏は「カリスマ性のあるオッサン」を待望
確かに支援の対象として「オッサン」は魅力的でないかもしれない。「救わなければ」という気持ちをかきたてる対象でもない。その「どうしようもなさ」の理由を、やまもと氏はこう解説する。
「共感を得るに当たっては、『やむにやまれずそこに至った』という悲壮感がなければいけない。さらに『なぜ救わなければいけないか』という大義名分が必要」
そうした悲壮感が可視化されておらず、もし可視化しても「自己責任」で片付けられるオッサンは救われにくい。そうなると、キモくて金のないオッサンは、残り数十年の人生をどのように歩んでいけばいいのか。
番組では具体的な解決策は提示されなかったが、キーワードとして「組織化」「連帯」といった言葉が出た。現状では、困窮したオッサンたちが組織になっても社会的なムーブメントにはなりにくい。しかしロールモデルとなるような「マネジメント能力の高いオッサン」が出てきたら、変わる可能性がある。
「キモくて金がないけど、カリスマ性のあるオッサンが出てきたら、政治的な運動になるかもしれない」(速水氏)
「それなりの政治勢力になるときには、指導者がいて、束ねる人たちがいて、事務局ができて、ちゃんとお金も回って初めて組織化できる」(やまもと氏)
この特集にツイッターでは「いや…耳が痛い」「基本絶望しているのであとはできるだけ早く死にたい」「全般的に『甘え』の一言で粉砕されるような勢力だからなあ」といった、諦めを含んだ声が多い。
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