娘の奨学金260万円を返済する50代シングルマザー「優秀な若い人が学費の心配をせずに学べる社会にはならないのでしょうか」
未来ある学生の可能性を広げてくれる奨学金制度。長期返済も可能で、毎月の返済額を抑えることもできる。一方、キャリコネ読者からは
「奨学金の合計は480万円です。毎月2万円ずつ支払っています。2万とはいえ家計にとってかなり負担です。幸いコロナの影響は受けていませんが、自分の子どもの将来を考えると貯金していけるか不安です」(20代男性/香川県/メーカー系/年収400万円)
といった声が寄せられている。また、自身の奨学金返済ではなく、我が子のために返済を続けている親も多い。(文:鹿賀大資)
「弟の学費を払うために私が奨学金を借りた」と違和感を語る20代長女
千葉県の50代女性がその一人だ。女性はシングルマザーとして現在、娘の奨学金を返済している。
不動産・建設系の会社で非正規で働く女性の年収は250万円。長女の学費計約260万円を県から奨学金として借りている。長男も同様に約130万円を借りていたが、すでに完済。現在は長女の分を毎月2万7000円ずつ返しているという。
「やはり奨学金の返済があるので、生活は最低限に抑えています。借りたからには返済は当たり前ですが、完済までこの生活が何年も続くのかと思うと……。病気や失業をしたら、たちまち窮することになってしまうでしょう」
こうした自身の事情を踏まえて「優秀な若い人が学費の心配をせずに学べる社会にはならないのでしょうか」と問いかけている。
神奈川県の20代女性は、家庭の経済的な事情で弟の奨学金返済を肩代わりすることになった。月々の返済額は約3万9000円だが、IT・通信系企業で年収が750万円あることもあって「返済は苦痛ではない」と明かす。それでも「返済がなければ、その分を自己投資に回せたのに」と綴る。
「弟が私立大学に進学した時期に、親戚にお金を騙し取られたため実家に余裕がなくなった。そこで弟の学費のために、長女である私が奨学金を借りる羽目になった。私自身は学費免除になったので、ほとんど奨学金に手をつけずにいた。それなのに私が返済している現状に違和感がある」
当初は、両親と弟も含めた全員で返していく約束だった。しかし、経済的に不可能な状況から女性だけが負担することになったという。ちなみに弟は正社員で働いているが薄給のため、女性は「彼名義で奨学金を借りていたら大変だっただろうと思う」と述べている。
「子育てをしながらでも返済には困っていません」と話す就職氷河期世代
メーカー系企業で年収1500万円を稼ぐ都内の40代男性は「結婚を機に自分の奨学金は繰り上げ返済しました」と振り返る。夫婦で合計1000万円以上の奨学金を借りており、毎月の支払いは多い時で約5万円にのぼったという。
現在は、妻の奨学金を月1万4000円ずつ返済しているといい、それでも世帯年収が2000万円ほどあるため「子育てをしながらでも返済には困っていません」と述べている。だが、過去については
「私も妻も氷河期世代で、貧しい家庭に育ちました。奨学金を借りて大学に行くと決めた時点で、返済も視野に入れた人生設計を考え、学生時代は学びの手を抜かず、卒業後は大企業に就職しました」
夫婦ともに優秀な学生だった訳ではない。ただ、自分のやりたいことを実現するために「責任を取る覚悟はあった」と語る。その上で男性は
「コロナの影響は計り知れません。でも世間は『社会が悪い』『環境が悪い』という論調ばかりです。私たち夫婦のように努力してきた側からすると、甘えのように見えてしまいます」
と書いている。
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