「親の財布から万札を抜き取る10歳の娘」にどう対処する? 「通報した方がいい」というケースも……識者解説 | キャリコネニュース
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「親の財布から万札を抜き取る10歳の娘」にどう対処する? 「通報した方がいい」というケースも……識者解説

心理カウンセラーが対処法を解説する

心理カウンセラーが対処法を解説する

子育ては日々、試練の連続だ。我が子の行動は時に想像を大きく外れ、道を誤った時には親として正す責任がある。だが、その方法には正解がない故に難しい。

お悩み解決掲示板に1月、子育てに悩む親の「10歳の娘が財布から万札を抜き取りました」という投稿が寄せられ、キャリコネニュースでも取り上げた。小遣いに毎月1500円、さらにお年玉として3000円をあげたばかりだったが、娘が万札を抜き取る姿を目撃してしまったという。

お金を抜き取られたのは、気が付いた分だけでも計10回にのぼる。投稿者は「病院へ連れて行こうと思いますが、一体どうすれば良いでしょうか」と困り果てた様子だった。

この投稿に、掲示板では「もしかしたらお金が欲しくて盗んでいるのではないのかも」と指摘する声もみられた。実際、こうした場面に遭遇したら親はどうすればいいのか。心理カウンセラーの浮世満理子氏は、キャリコネニュースの取材に「原因を考える上で、注目すべき点は3つあります」と口火を切る。

親が気付ける「イジメの第一メッセージ」かも?

子どもの年齢によって働く心理は異なるものの、小学生~中学生くらいの子どもが親の財布からお金を抜き取ることは決して珍しいケースではないという。その上で、解決策を考える前に以下の3つの注目点を挙げた。

(1)子どもに「悪い」という意識があるかどうか

「親にしてみれば、すぐに我が子に盗癖があると思いがち」と浮世氏は指摘する。だが、10歳前後の子どもでは、自分の物と親の物の区別が付いていないケースも多く、まずお金を抜き取る行為に”罪の意識”があるかどうかを確認することが重要になってくる。

(2)欲しい物があるかどうか

小学校4、5年生というと欲しい物が出てくる時期でもある。「クラスの友だちが持っている物が欲しい」「漫画が読みたい」などの物欲が出てくる時期で、お小遣いが足りないと、親のお金を抜き取ることがある。

(3)イジメが隠れているかどうか

同級生に慢性的にお金を取られている、またはジュースを奢らされているなどのケースがこれに当たる。浮世氏は「実は、親が気付けるイジメの第一メッセージです」と話す。子ども自身は「自分がイジメられている」とは言わないので、どういう友だち関係を持ち、何にお金を使っているかを確認する必要がある。

「叱らないから本当のことを話してね」でまず事実を把握

では、投稿者は、親として娘にどう向き合うべきか。最初の大事なポイントとして、浮世氏は

「『叱らないから本当のことを話してね』と一回目は背景にある事実を探ることが大事です」

と解説する。この質問に対する答えにより、対処法が異なるからだ。

その上で、お金を財布から抜き取ることに罪悪感がないのであれば、「財布から盗るな」ということを徹底的に教える必要があるという。

「『泥棒と一緒』とはっきり伝えましょう。ここで教えることで、その後の成長を考える上でもいい教材になります」

その上で「あくまで”盗ったことを怒る”のではない」と釘を差す。大切なのは「勝手に抜き取るのは本当にいけないこと」「お金が必要ならまず親に相談する」と厳しく教えることだ。

さらに”一番大事なこと”としては、お金を抜き取らせる環境を作らないことも挙げる。

「具体的には、子どもの目に付くリビングなどに財布を置かないことです。鞄に入れるとか、置き場所を時々変えるといったことが必要になります」

「正しく大騒ぎ」することの必要性

また、万一お金を抜き取られた時には、親がすぐに気付くことも必要だ。普段から自分の財布にどのくらい入っているかを把握しておき、なくなったら「大変!」とすぐに騒ぐことが大切になるという。

浮世氏は「以前に母親から受けた相談で、小4の娘が『漫画を買いたい』という理由で、財布からお金を抜き取ってしまったというものがありました」と過去に似たような相談を受けたことがあると語る。

「財布はリビングに置いていたそうです。相談では、財布を鞄に入れて、置き場所を時々変えるように伝えました。子どもの習慣を絶ち切ることが大事なのです」

その後も、娘に5000円札を抜き取られることがあり、母親が「5000円がなくなった」と娘の前で騒ぐと、「お母さんの勘違いじゃない?」「最初から入ってなかったんでしょ?」などと白を切られた。娘とその兄に「あなたたち知らない?」と聞いても「知らない」という回答が返ってきたので、母親が

「泥棒が入ったから、警察を呼んで調べてもらおう」

と提案したところ、娘は「ごめんなさい。二度とやりません」と自らの犯行を認めたという。

浮世氏はさらに、もしこのタイミングでも子どもが罪を認めなかったら「思い切って通報して、調べてもらった方が良いケースもある」と話す。背景には、子どもが将来、犯罪者になるリスクがあるからだという。

「私がアメリカの児童養護施設を訪れた際、男の子が先生の車を持ち出し、ドライブに行ってしまうという事件がありました。日本ならば、本人を叱ってそれで無かったことにしますよね?でも、教育担当のカウンセラーは『車を盗まれました』と通報したのです」

浮世氏はこの時、男の子が「傷付くのではないか」と考えて、カウンセラーにどうして警察まで呼ぶのかと聞いたそう。すると、カウンセラーからは次のような返答があった。

「車のキーを盗むということは、他の子どもよりも知的レベルが高いということです。こういう子は将来、良い職種に就ける可能性が高い反面、犯罪者になるリスクも高い。だから、しっかりとカウンセリングを受けさせた方がその子の将来のためになるのです」

こうした経験もあり、浮世氏は必要ならば「正しく大騒ぎすることも大事」と強調する。子どもがほんの軽い気持ちで行動したことでも、大変な結果になると教え込むことが何より大切で、困ったことがあれば嘘を吐かずに親に相談できる環境を作ることにもつながるという。

浮世氏は、アイディアヒューマンサポートアカデミー学院長、上級プロフェッショナル心理カウンセラー。これまでにプロサッカーJ1クラブやプロテニスプレーヤー、プロゴルファー、陸上、体操選手らのメンタルトレーニングを担当し、2008年にはトレーナーとして北京五輪に同行した。

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