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「業績を上げなければ」と焦るほど成果が遠のく皮肉 管理職は力を抜いてみよう

仕事の成果に結びつける考え方

仕事の成果に結びつける考え方

「今月の目標は達成できそうか?」
「1人当たりの生産性を上げてくれ!」
「人が育ってないぞ!」

こんな上からの言葉に心と身体をすり減らしている管理職の方はいないでしょうか?

心と身体が縮こまった状態では、いい考えは浮かびませんし、いい仕事は出来ません。今回は、そのような縮こまった心と身体を解放し、仕事の成果に結びつける考え方をお伝えします。(文:働きがい創造研究所社長 田岡英明)

なぜ頑張っても業績が上がらないのか

ダイヤモンド社から出されている書籍『昇進者の心得』に「クイック・ウィン・パラドックス」という言葉が登場します。著者は新任管理職が仕事の成果に焦り、以下の様な5つの行動に走りがちだと警鐘を鳴らします。

(1)隘路に入り込む
(2)批判を否定的に受け止める
(3)威圧的である
(4)拙速に結論を出す
(5)マイクロマネジメントに走る

業績のプレッシャーから仕事本来の目的を忘れ、細かいところ、いわゆる隘路に入り込み、「木を見て森を見ず」の状態になる。そして、メンバーからの言葉を否定的に受け止め、威圧的な態度で、細かく指示・管理をするマイクロマネジメントに陥ってしまう。すると逆説的に成果が遠のいていく、といった内容です。

実際に心当たりのある管理職の方も多いのではないでしょうか。こういうやり方は管理職がしっかり時代を捉えていれば機能することもありますが、昨今のように先の見えない時代には、なかなか機能しません。しかも、メンバーが受身の仕事に慣れていき、自律的に育たないので、短期的な成果は出せても、長期的な成果を出し続けることは出来ません。

管理職の役割を”機能”と捉える

業績を上げなければというプレッシャーで、何もかも自分でやろうとしているかもしれません。そういう気持ちを手放し、張り詰めた心と身体を解き放ちましょう。管理職という立場をヒエラルキーの上位職と捉えるのではなく、一つの機能として捉えるのがポイントです。マネジメントとは一つの機能であり、その役割を果たすのが管理職なのです。

社会心理学者の三隅二不二さんは「PM理論」で、マネジメント機能は目標を達成する機能と組織の人間関係を良好にまとめる機能の2つから成り立つと説いています。管理職は、これら2つの機能を果たせばいいのです。

会社以外でマネジメント機能が必要とされるのは、たとえば以下の様な場面です。

(1)PTAの会長職

PTAは父母の皆さんのボランティアで成り立っています。上下関係といったヒエラルキーは無く、PTA会長のもと、多くの人が協力し、生徒や地域のために活動をしていきます。

(2)マンションの理事長職

マンションの理事長職が順番で回ってきて大変な経験をした方も多いことでしょう。理事長職は、まさに機能として必要な役割です。様々な思いを持った理事や役員の方々を、権力以外の方法でまとめていかなければなりません。

PTAやマンションなどの組織には、上下関係のような権力構造は無いため、それぞれの人たちが目的や目標に納得をし、個別の役割を果たしながら協力する体制を築かなければなりません。管理職もこれと同じで一つの機能と捉えると、肩の力が抜け、組織を冷静に俯瞰できるのではないでしょうか。まずは自分のやるべき領域をしっかり見極め、自分でなくてもいい仕事はメンバーに任せ、閃いた戦略や戦術を組織の成果獲得にぶつけてください。

筆者近影

筆者近影

【著者プロフィール】田岡 英明

働きがい創造研究所 取締役社長/Feel Works エグゼクティブコンサルタント

1968年、東京都出身。1992年に山之内製薬(現在のアステラス製薬)入社。全社最年少のリーダーとして年上から女性まで多様な部下のマネジメントに携わる。傾聴面談を主体としたマネジメント手法により、組織の成果拡大を達成する。2014年に株式会社FeelWorks入社し、企業の管理職向けのマネジメント研修や、若手・中堅向けのマインドアップ研修などに携わる。2017年に株式会社働きがい創造研究所を設立し、取締役社長に就任。

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