INPEXが推進するエネルギートランスフォーメーション エネルギーの転換に向けたイノベイティブな取り組み | キャリコネニュース
おかげさまで9周年 メルマガ読者数
65万人以上!

INPEXが推進するエネルギートランスフォーメーション エネルギーの転換に向けたイノベイティブな取り組み

株式会社INPEX 再生可能エネルギー・新分野事業本部 新分野事業ユニット
ゼネラルマネージャーの轟木俊男さん(同社提供。以下同じ)

国内外で石油や天然ガス開発を手掛ける株式会社INPEX(旧国際石油開発帝石株式会社)。2021年4月から社名を「INPEX」に変え、エネルギーの転換に向けてイノベイティブなパイオニアとなるべく邁進している。

INPEX は2050年までの脱炭素社会(カーボンニュートラル)の実現に向けて、エネルギー構造の変革に積極的に取り組む。実現の鍵を握るのは、カーボンリサイクルをはじめとする新たなテクノロジーの開発だ。世界をけん引するINPEXはどのように推進していくのか。再生可能エネルギー・新分野事業本部 新分野事業ユニット ゼネラルマネージャーの轟木俊男さんに伺った。(文:千葉 郁美)

エネルギーの上流事業でCO2低減へ。ネットゼロカーボンを目指す

長年にわたり石油や天然ガスといった化石燃料の採掘や油ガス田の開発を担ってきたINPEX。日本そして世界中でさらなるエネルギー需要が増加するなか、エネルギー開発や安定供給の責任を果たしつつも、2050年ネットゼロカーボン社会の実現に向けた取り組みを加速させる。

油ガス田のアセットを持つINPEXが注力する事業のひとつは、天然ガスをクリーンに活用する「CCUS(Carbon dioxide Capture, Utilization and Storage:CO2回収・有効利用・貯留)」の推進だ。CCUSとは、CO2を地下に圧入して貯蔵、あるいは再利用する技術のことをいう。エネルギーを生み出すときなどに大量に排出されるCO2を有効に活用する技術として注目を集めている。

「CO2を地下に圧入」高い技術力でCCUSを推進

長岡メタネーション実証プラント

CCUSを推進する上では、CO2の貯蔵においてINPEXが持つアセットや培った技術力が発揮される。水深2000メートルから下にも横にも掘削する技術は、CO2を地中に圧入することを可能とする。

また、INPEXがCO2を圧入しようとする候補の一つが枯渇した油ガス田だ。何千万年もの間油ガスを溜めていた油ガス田は、地質的に安定しているため安全にCO2を圧入できる。

INPEXはこうしたCO2の地下への圧入について実証等も行いながら推進している。国内では新潟県の頸城油田での実績を有し、国外ではオーストラリアの北西沖での圧入実証を検討中だ。化石燃料の上流事業で発生するCO2を地下に圧入することにより、確実な貯蔵と活用を目指している。

「カーボンニュートラル、そしてカーボンネガティブ(温室効果ガスが排出量より吸収量が多い状態)を目指そうとした場合、CO2を地下に圧入していく必要があります。我々の持つアセットを、我々の持つ技術を活かしてソリューションを提供したい。その思いで開発に邁進しています」(轟木さん)

天然ガスから水素へ。新エネルギーの供給に展開

CCUS推進は新エネルギーとして期待が高まる水素の製造につながる。天然ガスを水素とCO2に分離し、CO2を地下に圧入・貯留するまたは、資源として活用することで、天然ガスをカーボンフリーな水素として供給できる。

「国内外にINPEXが所有するガス田から出るガスを活用して、水素の製造を推進していきます」(轟木さん)

水素から分離されたCO2は地中へ圧入するほか、カーボンリサイクルによって新たな利活用を目指す。INPEXは水素社会の到来を展望し、水素の製造と供給事業に展開を図る。

「どのように地下のものを循環するか、あるいは水素のバリューチェーンを実現するか。2020年代に実現するべく、新たなビジネスとして積極的に取り組んでいます」(轟木さん)

カーボンリサイクルの技術開発を推進。研究開発型ベンチャー等と連携

また、カーボンリサイクルはカーボンニュートラル実現のカギを握るテクノロジーの一つだ。水素と分離回収されたCO2はさまざまな分野での活用の技術開発が進められている。

INPEXではメタネーション事業や光触媒を利用したソーラー水素製造の技術開発を推進。太陽光エネルギー変換効率10%を目標に研究開発は順調に進行し、実用化も検討されている。

「新たな技術開発は、産学共同でさまざまなプロジェクトを仕込んでいるところです。社内リソースに限らず、ベンチャー企業との協業によるソリューション開発にも前向きです」(轟木さん)

社内リソースを最大限に活用した社内ベンチャーに加え、研究開発型ベンチャーや研究機関等との連携を積極的に推進しているINPEX。ドローンを活用したパイプライン管理等による操業効率化・保安向上や、エネルギー事業に関わるDXの導入などを推し進める。

「INPEXという社名には、エネルギートランスフォーメーション(エネルギー転換)におけるパイオニア(Innovative Pioneer of Energy Transformation)になるという決意が込められています。従来の化石燃料によるエネルギー供給から、水素をはじめとしたクリーンエネルギーへと転換していく。脱炭素社会を目指して、取り組みを一層強化していきたいですね」(轟木さん)

2050年のネットゼロカーボン社会の実現へ。INPEXのさらなる躍進に期待が高まる。

関連記事

アーカイブ