初詣も「オンライン」の時代? 知っておきたい昔ながらの参拝作法「遙拝」とは | キャリコネニュース
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初詣も「オンライン」の時代? 知っておきたい昔ながらの参拝作法「遙拝」とは

初詣イメージ

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ライブ配信を見ながら、合掌の時代? コロナ禍で迎える二回目の正月を前に「リモート参拝サービス」が話題を呼んでいる。来年1月6日には東京・港区の増上寺で「オンライン初詣」が開催されるという。いったい、どんなものなのか。(文:昼間たかし)

増上寺で「オンライン初詣」

「増上寺オンライン初詣」をてがけるのは、11月に凸版印刷が販売開始したサービス。同社によると、僧侶による境内案内や、正月御祈願の様子をオンラインで配信するほか、Zoomの投票機能を使って「増上寺クイズ」をやったり、僧侶との「双方向コミュニケーション」もできるという。ちょっと楽しそうだ。

また、「徳川家康ゆかりの秘仏・黒本尊阿弥陀如来に由来する『勝運御守』や、参加者が願い事を書いて施設内での絵馬飾りとして使える、オリジナル紙絵馬を配送」といったサービスもあるというから、いろいろ凝っている。ただ、このサービスは「全国の高齢者介護施設利用者向け」。あくまで、混雑した寺社を訪れにくい人たちが対象のサービスのようだ。

今年の正月でも、全国の寺社でオンラインを用いた試みが実施された。ただ今年の場合、ほとんどが本堂などの様子をライブ配信して雰囲気を味わってもらう、というようなところにとどまっていた。

今年は、さきほどの凸版印刷のサービス以外にも、コロナ禍の拡大を受けて多くの寺社が公式サイトで現地に来ることができない人に向けて神札や御守りの郵送、ご祈祷などの案内を充実させている。ただ、こちらもあくまで、時節柄移動が困難なための代替というのが前提で「うちは、サイトにアクセスするだけでお手軽に参拝できます」なんてことを書いている寺社は見当たらない。

実際、「どうしてもオンラインで参拝したい」というニーズはそんなに多くなさそうだ。ゼネラルリサーチ株式会社が10月に発表した「2022年の初詣・参拝とオンライン化」では、「今年(2021年)は初詣・参拝に行きましたか?」という設問に対して

– オフラインで(実際に神社・仏閣に)行った 42.5%
– オンラインで行った 2.4%
– 行かなかった 55.1%

となっていた。さらにこの調査では、51.8%が参拝について「コロナ禍でも絶対にオフラインでしたい」と回答していた。職場にすら行きたがらないこのご時世に「絶対にオフラインで」というぐらいだから、現地で参拝したい気持ちはかなり強いのだろう。

現地に行かずに参拝する方法とは

さてさて、ここで一つ、ぜひ知っておいてほしい情報を。日本にはオンライン参拝よりもずっと以前から、現地に行かずに参拝する方法がある。

それが「遙拝(ようはい)」である。

「遙拝」とは「遠く隔たったところから拝むこと」の意味で、ようは参拝したい寺社の方角に向かって手を合わせるというものである。それで御利益が減るという説明は今まで受けたことがない。別にネットじゃなくても、そっちの方角を拝むだけで十分ということは、もっと知られたほうがいいだろう。

ところで現地に行かないとなると、ちょっと気になるのが「お賽銭」だ。

いうまでもなく初詣は寺社にとっての稼ぎ時である。初詣客が減って、崇敬している寺社の経営が苦しくなっては困る。実は以前、神社本庁に取材した時にこういう質問をしてみた。すると、

「次に訪れた時に<前回の分です>ということでまとめて参拝をすればよいですし、お賽銭を現金書留で送ってもよいですよ」

という回答だった。さすが、おおらかである。

こういうことなら、「オンライン」にこだわる必要はなさそうだ。なにか事情があって行けないときでも、しっかり心を込めて祈りを捧げればいい。まずは、コロナ収束後に安心して参拝できることを願って、崇敬する寺社に向かって手を合わせるとするか。

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