独自の視点でより良い職場づくりを。自分ならではの強みを活かして働いていく
愛知工場の業務課に勤務する川合 涼介。チャレンジドとして採用され、事務作業全般に携わるかたわら、独自の目線から得た気づきを積極的に発信し、業務効率化や職場環境の改善に取り組んでいます。現在の仕事、共に働く仲間への想いを語ります。【talentbookで読む】
自分だから気づくこと、自分にしか気づけないことを積極的に発信
愛知工場の業務課に所属して、事務作業全般に携わっています。業務課は、労務や採用、備品の管理、工場で働く従業員の福利厚生など、幅広い業務を担う部署。従業員の勤怠管理や書類の整理、郵便物の仕分けなどが主な仕事です。
たとえば、愛知工場には約200人の従業員が勤務していて、勤務変更が毎日のように発生するので、紙の情報を専用の勤怠システムに落とし込んでいったり、有給休暇の申請を処理したり。郵便物を発送する際に記録を残しておく作業や、届いた郵便物を部署ごとに仕分けしていく作業もルーティーンワークのひとつです。
また、工場が毎月掲げる「提案活動」の集計も業務課の仕事。提案活動とは、現場の各従業員が自ら提案したり、自ら実践したりして業務改善に取り組むことです。たとえば、「エクセルで関数を組んで計算を自動化し、作業を簡略化しました」といった、全社員から専用用紙にて提出された提案をまとめています。
これには私もすすんで参加するようにしていて、用紙など消耗品のコスト削減や作業の効率化など、些細なことでも、気づいたことがあれば提案するようにしています。
2022年7月現在、業務課のメンバーは私を含め8人。それぞれ受け持つ仕事があって単独で作業するというよりは、ほかのメンバーと協力しながら業務にあたることが多いですね。職場の雰囲気はとても良く、困ったことがあったら互いに気軽に言い合えるような風通しの良さがあります。
私が仕事をする上で大切にしているのは、チャレンジドの目線での気づきや発見を積極的に発信すること。業務上でわからないこと、困ったことがあれば相談するのはもちろんですが、たとえば、職場を見渡して、「この高さに物があると取りづらい」「この位置の掲示板は見えにくい」など、不自由に感じることがあれば、積極的に共有するようにしているんです。誰もが働きやすい職場作りに貢献できればと思っています。
充実した環境で自分らしさを発揮。より働きやすい職場作りを目指して
私は先天性の脳性麻痺で、立って歩行するのが困難で、手も不自由なため、指先を使った細かい作業をするのが苦手です。現在は、車椅子を使って生活していて、工場には車で通勤しています。
明治に入社したきっかけは、職業訓練校に在籍していたとき、見学にみえた明治の人事部の方に紹介していただいたこと。当時、ちょうどバリアフリー機能を備えた愛知工場ができたばかりのころでした。タイミングよく私に声がかかり、採用面接を受け、ご縁があって入社しました。
職業訓練校に在籍する前は、特別支援学校に通っていました。特別支援学校では、数学や国語といった、一般的な学校と同じような授業を受けながら、それぞれの障がいに合わせたリハビリの時間が設けられています。
また、外出訓練も受けました。これは、実際の日常生活に備えた体験学習のようなもの。たとえば、車椅子でお店を利用する際、直面することになる不便や不都合を事前に想定し、出かける前に電話確認するといった、基本的な動作の流れを学びました。
特別支援学校や職業訓練校で、一通りのことは修得したつもりでしたが、入社にあたって不安もありました。バリアフリー機能を備えているとは聞いていましたが、工場に対する先入観があり、実際には段差などで苦労するのではないかと思っていたんです。
実際に働きはじめて、障がいがあっても利用しやすいトイレだけでなく、車椅子に座ったままでスムーズに作業着に着替えられる専用の更衣室も完備されているなど、充実した設備に驚きました。
設備の面だけでなく、一緒に働く皆さんの細かな気配りにも助けられています。什器のレイアウトや資料の保管場所など、「動きがとりづらいところ、手が届きづらいものがあれば遠慮なくいってほしい」と声をかけてもらえるのは、とてもありがたいですね。
自身の作業負担の軽減に直結することも多いので、業務の効率化につながると思えることは、こちらからも積極的に提案しています。たとえば、複合機に何百枚もの用紙を毎回セットするのはなかなか骨の折れる作業です。そこで、「この資料の内容を簡略化することで、用紙の印刷枚数を減らせるのではないか」「印刷の記録をひとつの表にまとめて作業を短縮できるのではないか」といった具合に、常に改善を心がけるようにしています。
自分ならではの視点が活きる。チャレンジドへの理解・共感が進んだ環境で成長
普段あまり接することがない部署の方からも声をかけてもらうなど、明治では、チャレンジドへの理解・共感がとても進んでいると感じます。そんな社風を象徴するような出来事が、入社初日にありました。
愛知工場では、毎年、大勢が集まる定例会で新入社員の紹介が行われています。全員が簡単な自己紹介をするのですが、会場にたくさんの椅子が並べられていたので、名前を呼ばれても身動きがとれず、自力で前に出ることができなかったんです。
どう動いてよいかわからず混乱していると、すかさず後ろから車椅子を押してくれる方がいました。入社初日ということで緊張していたこともあって、自分から「手伝ってほしい」と声をかけにくい状況の中、そうやって名前も知らない何人もの方がすばやく動いて助けてくれたんです。
入社前、特別支援学校や職業訓練校など、障がいのある方が多い環境に長らく身を置いていました。健常者が多い世界に飛び込むのは初めてのことだったので、大きな不安を抱えていたんです。
でも、入社してからこれまで、部署の方はもちろん、普段あまり接することがない部署の方もとても親切にしてくれました。たくさんの方にサポートしてもらったことで、いまは自信を持っていろいろなことに積極的に取り組めています。
たとえば、「この作業をするとき、車椅子では通りにくい箇所があるけれど、そんなことまでいっていいのかな」と思うことがあるんです。正直に気持ちを打ち明けたところ、「川合くんにしか気づけないことがある。ためらわず行動に移してほしい」といってもらえて。自分だから気づけること、自分にしか気づけないことがあるんだと感じましたね。
業務部で車椅子を利用しているのは、現在のところ私ひとりだけですが、さまざまな障がいのある方にとってより働きやすい会社にしていくために、できること、しなければいけないことを見つけて、これからもどんどん発信していきたい。私が提案したことが、後に続くチャレンジドにとっても働きやすい環境を作ることにつながっていけばうれしいですね。
率直なコミュニケーションが、業務の効率化や、より良い職場環境作りの鍵に
これから社会に出ようとしているチャレンジドの方には、自信を持っていろいろなことに挑戦してほしいと思います。たとえば、気づいたことや感じたことがあっても、「こんなことをいっていいのかな」「誰かが嫌な思いをするのでは」と、つい遠慮してしまうものですが、「変えていきたい」という想いを大切にしていただきたいんです。
「この作業はちょっと不便だな」と思いながらも、辛抱してそのままやり続けることは簡単です。でも、思い切って提案したことで、結果的に自分だけでなく、皆にとって働きやすくなったと実感できたケースが、これまでにたくさんありました。皆さんの周囲にも、きっとあなたの言葉を正面から受け止めてくれる方がいるはずです。「自分にしかできないことをしている」と信じ、ためらわずに言葉にしていってほしいと思います。
チャレンジドを受け入れる側にも、思っていること、知りたいことをどんどん伝えてほしいというのが私の願いです。健常者の方と話していると、「こんなことをいったり、聞いたりしてもいいのかな」「こんな仕事を任せて大丈夫かな」と、遠慮されているように感じることがあります。でも、自分にどんな障がいがあり、何ができて何ができないのかなど、自らすすんではいいにくいものです。聞いてもらうことではじめて、「これはできるけど、これができません」と伝えることができますし、「こうしてもらえると助かる」と提案もしやすくなります。
そんな率直なコミュニケーションが増えていくことで、業務の効率化や、より良い職場環境作りにつながっていくと感じています。そうやって互いの理解が深まり、チャレンジド含め、いろいろな方にとってますます働きやすい会社になっていけばいいですね。
株式会社 明治
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