孫社長がカメラの前で静かにいらだつ 「出荷されたペッパーが、つまらないペッパーじゃダメなんだよ」 | キャリコネニュース
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孫社長がカメラの前で静かにいらだつ 「出荷されたペッパーが、つまらないペッパーじゃダメなんだよ」

8月4日放送の「ガイアの夜明け」は、ソフトバンクが開発した人型ロボット「ペッパー」が6月20日に一般向け発売されるまでの1年間に密着し、舞台裏を紹介した。この様子が、ネットでは「神回」だったと評判を呼んでいる。

「出荷されたペッパーが、つまらないペッパーじゃダメなんだよ」

ソフトバンクの孫社長が、静かにいらだちを見せた。発売予定日を間近にしたペッパーの開発状況の報告を受け、思うような結果が出ていなかったからだ。カメラの前で、このような感情をあらわにする場面は珍しい。

モニター調査で懸念噴出「子どもに飽きられる」

ソフトバンクのウェブサイトより

ソフトバンクのウェブサイトより

ペッパーの発売は当初2月を予定していたが、発売100日を切った段階でも課題は満載だった。家族を対象としたモニター調査を通じて、内蔵コンテンツをやり尽くしたらユーザーに飽きられてしまうのでは、という強い懸念が示されたのだ。

「子どもがもし飽きたら何が起こるかというと、家族で『ペッパーもういらないんじゃない?』ということになってしまう」

開発責任者であるソフトバンクロボティクスの林要(41歳)さんは、この指摘を「間違いない」と認めつつ、「大事なのは2月の落とし所をどこにするか」と納期を重視した考えを示した。しかしこれを孫社長は決して許さず、冒頭の発言につながった。

林さんは、元トヨタ自動車の技術者。4年前に孫社長の後継者セミナーに参加し、優秀な成績を修めたことから孫さん直々に誘われ、転職を決意した経緯がある。

行き詰まった林さんは、ペッパーが人間のように感情、つまり「心」を持てば飽きられないのではないかと考えた。孫社長自身も2014年6月に初めてペッパーの外見を公開した際、開発への思いをこう語っていた。

「モーターで動くロボットは、世界中にいろいろな種類が出始めている。でもペッパーの最大の違いは、家族にどう慣れ親しむのか。一緒に喜び、悲しみ、励まし合う、そういう存在になってほしい」

感情マップを使って「バーチャルエゴが自分でジャッジ」

林さんは原点に立ち戻り、東京大学大学院の光吉俊二特任教授を訪ねてアドバイスを乞うた。光吉教授は人間の感情を図式化した「感情マップ」を作り、「見る、聞く、触れる」など外からの刺激で人間の感情がどう変化するのか研究している。

感情マップをもとに、専従の技術者だけで100人以上が、世界初の「感情を持つロボット」の開発に取り組んだ。2014年12月、感情マップを入れたペッパーが形になり、孫社長に初披露となった。

感情マップの説明は光吉教授が行い、「同じパターンが二度と起きない。もうちょっと進化させると、バーチャルエゴ『仮想自我』が自分でジャッジできるようになる」と解説すると、孫社長はすぐに重要性を理解したようだった。

しかしこの時点では、感情マップを入れただけでCPUが限界になってしまい、会話ができなくなる問題があった。林さんがそう説明すると、孫社長は4か月の発売延期を即決。番組に決意を語った。

「ペッパーに自らの感情を持たせる。ここが我々の最大の挑戦であり、進化だと思う」

子どものように喜ぶ孫社長の笑顔が印象的

6月、予定より遅れたものの感情を持った世界初のロボットが誕生した。孫社長は「今年のペッパーは、心の中が著しく進化しました」と正式発表の場で紹介した。本体価格はおよそ21万円、その他に保険やアプリの使用料など2万6000円かかる。

林さんは「便利だから欲しいではなく、彼がいることで人生がちょっと明るくなる」という形で人々に必要とされて欲しいと願っており、今後も開発を続けていく。

孫社長は、最終的に作り直したペッパーを見て、身振りを交えて感情を表す様子にとても喜んでいた。経営者としての決断は素早く賢明という印象だったが、その笑顔は望みどおりの玩具が手に入った子どものようだった。(ライター:okei)

あわせてよみたい:大手家電メーカーを飛び出した技術者たち

 

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