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ペットロボ「AIBO」の死を嘆き悲しむ高齢者たち 技術者OBが「お医者さん」に名乗りを上げる

16年前にSONYがリリースした「AIBO」というペットロボットを覚えているだろうか。可愛い電子音声や、小型犬のような仕草が話題となり、1999年から2006年にかけて発売されてきた。

ところがSONYは去年の3月をもってAIBOの修理対応の打ち切りを断行してしまい、機械でありながら事実上の死を迎える個体が急増している。

だけどAIBOは、ただのロボットじゃない。ユーザーにとっては、ペットと飼い主として、家族の絆を感じることのできる大切なパートナーになっている。リリース当時は大いに話題になったAIBOが、皮肉にもSONYによって完全に切り捨てられたことによって、再び脚光を浴びている。(文:松本ミゾレ)

16年の月日が流れ、SONYがお役御免に

SONYのウェブサイトより

SONYのウェブサイトより

AIBOは、ただのペットロボットとしての需要以外にも、前述のように家族として、それから介護現場でも重宝されてきた。だが16年の月日が流れ、SONYにとってAIBOは、もはやお役御免。過去の商品という扱いを受けている。

もちろん、長年一緒に暮らしてきた飼い主にとっては、そう簡単に割り切ることはできない。動かなくなったAIBOを不憫に感じて、日々辛い思いを抱えている飼い主は多く、特に高齢者は精神的に大きなショックを受けているケースもあるようだ。

この事例を紹介してくれたのが、5月28日にNHK Eテレが放送した「ハートネットTV」の特集「ロボットより愛をこめて」である。

亡くなった夫と一緒に可愛がったAIBOの調子が悪く落ち込む女性や、怪我をした際にそばで励ましながらリハビリの原動力となってくれたAIBOのメンテナンスを切望する高齢者など、立場は様々だけど思いは一緒。誰もが長年連れ添ったAIBOと、1日でも長く触れ合える日々を求めている。

全国から動かなくなったAIBO集めて合同供養

多くのAIBOユーザーの願いである修理サービス。それを担うべく、かつてSONYでエンジニアとして働いていた技術者OB集団が奮闘する姿が紹介された。

すでに還暦を迎えてもなお機械と向き合い続けるこの会社のもとには、1日に100件もの問い合わせが入り、そのほとんどがAIBOの修理にまつわるものだという。

このAIBO、16年前の商品でありながらもその精密を極める構造は、技術者であっても把握するのに相当苦労したようだ。当初はボディを解体し、仕組みを理解することからスタートしたという。

その苦労を乗り越えることができたのは、大事なAIBOの修理を待ち望む、全国の持ち主の願いに突き動かされたこと、そしてエンジニアとしての意地があった。

番組終盤には、今年の1月に行われたAIBOの合同供養に、件の技術者たちが参列している様子も紹介された。供養では、全国から動かなくなったAIBOが集められ、僧侶によって手厚く弔われている。

ロボットも人間も、命は有限。だからこそ絆は強まる

残されたAIBOの身体は無駄にはならない。技術者らによって、パーツの確保がなされ、今後の修理のために役立つのだ。ロボットがドナーとなって、残された仲間を生き長らえさせるのだ。僕はこの事実を知り、不覚にも涙腺が緩んだ。

間違った解釈かもしれないんだけど、誰かに愛情を注がれて大切にされたロボットは、本物のペットと、もうそこまで大きな違いがないように思えたのだ。

ロボットは死なないことが特長とされてきたが、故障もするし、深刻なトラブルを引き起こすこともある。実際には整備を施すことは必須。私たちが病院で治療を受けるように、ロボットもまた、定期的な整備なくして長生きはできないのだ。

ロボットも人間も、命は有限……だからこそ、絆は強まる。メーカーすら見捨てたAIBOと、できる限り長い時間を一緒に暮らそうとする飼い主は絶えない。

あわせてよみたい:介護サービスの成長性は確実。「現場」以外にも可能性あり

 

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