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「父親にも育児休暇を取らせろ!」 米国社会の根強い敵意と戦うダディたち

米国には、国が定める産休・育休制度がありません。すべて会社任せになっているため、どの会社で働いているかによって待遇に大きな差が出ています。米労働省によると、産休・育休制度がある民間企業は全米でわずか12%しかないそうです。

それも大半が、復職時の身分を会社が保証する程度のもの。そのため米国では出産した女性の4人に1人が、収入がなくなるのを恐れて出産後10日で職場復帰していると言われています。9月15日付ニューヨークタイムズに、ノアム・シェイバー氏が寄稿しています。(文:夢野響子)

「実の父親」の休暇だけなぜか9か月以上も短かったCNN

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米ヤフーCEOのメリッサ・メイヤー氏も、先月双子の妊娠を発表すると同時に「休みは限定的にとって仕事は続ける」と発表し議論を巻き起こしました。シリコンバレーの女性トップが短期の休みしかとらなければ、一般女性が長い産休をとれるはずがないからです。

男性よりも低賃金で働かされ、母親になったら昇進の道を閉ざされてきた米国女性たちは、性差別反対の声を上げてきました。ところが最近では家庭生活により関わろうとする男性たちが、これを聞き入れない雇用主を相手に提訴を起こすケースが増えてきています。

男性たちが自分にも家族のために時間を割く「権利がある」と考え始めたのは、この5年間ほどのこと。父親が雇用側とこの権利について争った最近の事例には、元CNNの男性記者ジョン・レブス氏のケースがあります。

彼は、育児休暇取得で差別待遇を受けたと雇用機会均等委員会に申し立てていましたが、ごく最近になって両者間で和解が成立したそうです。和解の内容は発表されていません。

CNNでは、実の母親や養子を迎えた両親、代理出産で赤ちゃんを得た両親には、それぞれ10か月の有給休暇が認められています。ところが実の父親には、なぜか2週間の休暇しかありません。レブス氏には幼い子どもが2人おり、生まれた子どもも早産だったために育児を助ける必要があったのですが、会社側は2週間以上の有給休暇を認めませんでした。

申請者が男性だと「明らかに差別や敵意にさらされる」現状

2008年に家族医療休暇法で認められた休暇を取った元弁護士のアリエル・アヤナ氏は、職場復帰後に上司からの仕返しで仕事をさせてもらえず、結局は解雇に追い込まれました。

このケースは2013年に決着がついていますが、アヤナ氏は復帰後の仕事に落ち度がなかったにもかかわらず、休暇を取って家族の世話をしたことを同僚たちから繰り返し嘲笑されたと語っています。

父親たちが勤務時間を減らして家族のために時間を使うようになりつつある米国社会ですら、このようなことが起きています。ピュー・リサーチセンターの分析では、1965年から2011年までに、父親の勤務時間は週平均42時間から37時間に短縮され、子どもと過ごす時間は週平均2.5時間から7時間に増えたそうです。

ボストン大学のエリック・リード助教授(組織行動論)は、大手企業でも従業員が家庭生活のために勤務時間を減らそうとすると、止められるケースが度々あると指摘しています。「申請者が男性の場合には、明らかに差別や敵意にさらされる」というのです。

米国人材管理協会の調査では、父親に有給の育児休暇を認めている会社は全体の17%、母親の場合は21%だとか。現実はなかなか厳しいですが、偏見と闘うところから社会変化は起きてくるのでしょうね。

(参照)Attitudes Shift on Paid Leave: Dads Sue, Too (NYT)

あわせてよみたい:育休を取れる旦那は情けない? 「2か月会社を休める」なんて小物すぎなのか

 

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