有給休暇の「時間単位の取得制度」を導入する企業は1割どまり 育児や介護に使えるはずなのに
厚生労働省は10月15日、2015年の「就労条件総合調査」の結果を公表した。2014年度の民間企業における従業員の有給休暇取得率は47.6%で、前年度より1.2ポイント下落した。
取得率が最も高かった「電気・ガス・熱供給・水道業」でも69.8%にとどまり、政府が2020年の目標に掲げる有休取得率70%は全業種で届かなかったことになる。
大企業も守っていない「60時間以上の残業に50%の割増賃金」
2010年から可能になった有休の「時間単位取得制度」を導入している企業も11.0%にとどまり、前年度より0.8ポイント下落。年に5日分(40時間)取得できるため、育児中や介護中の労働者に使いやすいと想定されているが、普及が進んでいないようだ。
労働基準法の違反も見られた。2010年から60時間以上の時間外労働には50%以上の割増賃金を支払うことが定められた。現状では中小企業では猶予されているが、300人以上の企業では50.6%、1000人以上の企業では25.2%がこれを守っていなかった。
50%以上の割増賃金については、中小企業にも適用されるよう先の通常国会に提出した労働基準法改正案にも盛り込まれている。しかし大企業でも守られていないルールを、中小企業に守らせることができるのだろうか。
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