「今日は天気が悪いので頭痛が……」 気圧の変化で体調が悪化する「気象病」の実態
11月17日の「あさイチ」(NHK総合)、ご覧になった方はいらっしゃるだろうか。徹夜でゲームのレベル上げを終えた直後、半分白目をむきながら、僕はこの放送を眺めていた。
この日の放送で、冒頭話題になったワードがある。それが「気象病」だ。(文:松本ミゾレ)
2人に1人が「天気が悪いと体調がよくない」と回答
番組では「天気と健康に深い関係があるのでは?」とのテーマで、街頭インタビューを行った。50代女性は、天気が崩れると頭痛がすると話し、60代女性は低気圧が近づいて雨になると、それに伴って足の痛みに苛まれているという。
30人にインタビューした結果、「天気が悪いと体調がよくない」と答えたのは15人。2人に1人だ。天候悪化に伴って体調が悪化する気象病に悩む人は、日本ではおよそ1000万人もいるというデータもあるそうだ。
さて、最近はこのような気象病の発症を教えてくれるサービスも出てきている。44万人が利用しているという、頭痛予測アプリもその一つだ。このアプリ、グラフに気圧の変化が時間帯ごとに詳しく予測されており、この気圧が急激に下がる時間帯に「注意!」や「警戒!」などのメッセージが表示されている。
かなり分かりやすいレイアウトになっているため、かなり便利なアプリに思えた。それにしても、このアプリの開発会社はどうやって頭痛予測を立てているのだろうか。オフィスにカメラが入って確認してみたところ、鍵を握っていたのは社員。「今日頭痛どう?」との上司の問いかけに「今日はちょっと朝から頭が痛くて……」と女子社員が答える。
一体これはどういうことか。なんでも、この会社に勤務している社員のうち、15人が頭痛持ち。この15人の社員たちが、いつ、どの程度頭痛を感じるようになったのか。これを8ヶ月に渡って記録していき、気圧の変化を考慮した上で、独自の計算式でアプリに反映させたというわけだ。
実際にリリース後相当数の利用者がいるということなので、恐らくその精度も高いんだろう。
「酔い止め薬」が気象病対策に有効な場合も
さて、気象病と言えばすぐに浮かんでくる症状が、頭痛。気象病のメカニズムの全ては解明されたわけじゃないけど、少なくとも頭痛を引き起こす理由については、解き明かされているようだ。
番組では、内耳という耳の中の平衡感覚を司る器官があり、この内耳に気圧の変化を捉えるセンサーがあると説明している。そしてこの気圧センサーが敏感な人は、気圧が変化しただけでも、平衡感覚に影響をきたし、「揺れている」という情報を脳に提供するというのである。
ところが視覚からの情報は、「揺れていない」と判断し、これを脳に送る。「揺れている」という内耳からの情報と、「揺れていない」という目からの情報。同時に異なる情報をあたえられた脳は混乱して、これがストレスを生むという。
そのストレスは全身に張り巡らせた神経を刺激し、このせいで頭痛を引き起こすと、こういうわけだ!なるほど、そういうわけだったのか。しかし、メカニズムは分かったけど、実際に気圧の変化で発生する頭痛を、どう予防すればいいのだろうか。
番組ではさらに、気象病による頭痛持ちの女性を取材しているんだけど、この女性が持ち歩いているのが、なんと酔い止めの錠剤。乗り物酔いも、気圧の変化による頭痛も、どちらも原因は内耳の中のセンサーが送る脳への「揺れている」の情報。要は出所が同じなので、気圧が下がる前に酔い止めを飲むだけで予防になるということなのだ!
気圧の変化による頭痛、対処するために頭痛薬を飲んでいるという人も多いはずだ。けど、頭痛薬は鎮痛効果があっても、内耳のセンサー異常には効果がない。気象病を予防するには、日ごろからアプリなどで気圧の変化を予測し、あらかじめ気圧が下がる前に、酔い止めをしっかりと服用することが大切というわけだ。
なるほど、これは勉強になった! 僕も気圧の変化が原因と思われる肩こりに悩んできた。この肩こりとも、いよいよおさらばできるぞ!
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