本屋以外の場所で「本」が売れている!? 異業種との巧みなコラボで「相乗効果」 | キャリコネニュース
おかげさまで12周年 メルマガ読者数
65万人以上!

本屋以外の場所で「本」が売れている!? 異業種との巧みなコラボで「相乗効果」

近ごろ、本屋がバンバン潰れまくっている。あれだけ危機的状況と言われ続けてきたのに、大胆な転換ができなかったツケがいよいよ回ってきた。出版流通業界の人たちは、その原因をスマホに押し付ける暇があったら、新たな売り場づくりを考えるべきだったのに。

実際、本屋以外の場所で「本」を集客の目玉にする動きが広がっている。2月29日放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)は、無印良品やH.I.S.など、従来にない店づくりで売り上げアップに成功している例を紹介した。

「無印良品有楽町」は編集工学研究所と連携

無印良品有楽町店の様子

無印良品有楽町店の様子

東京・有楽町の「無印良品有楽町」は去年9月のリニューアルで、店の中央に2万冊の書籍コーナーを設置した。本棚は洋服や雑貨、ワイン売り場にも並び、まるで本屋の中で服や雑貨を売っているようだ。

本選びは編集工学研究所と連携して行い、改装後は売り上げが15%アップ。本を購入した客は、買わない客に比べて他の商品も買う率が1.6倍になった。「MUJI BOOKS」の清水洋平マネージャーはこう語る。

「(お客は)無印良品の商品だけで満足していると思っていたが、我々が想像する以上に本を買っていて、新たな発見があった。こういう取り組みをすることで改めて気づかされたこともありました」

旅行代理店の「H.I.S.」は去年10月、東京・表参道に「旅と本と珈琲と」という新しいコンセプトの店をオープンさせた。1階は猿田彦珈琲によるカフェ、半地下に降りると書籍売り場で、旅にまつわる本ばかり1500冊を置いている。

椅子や机が並び、コーヒーを飲みながらゆっくり楽しめる空間だ。さらに地下1階に下りると、やっと旅行相談窓口に着く。新店舗の狙いは「目的意識の高い客以外の集客」だ。

旅行代理店の来店数が4倍に増加、売り上げも伸びる

この取り組みで旅行会社の敷居を下げることに成功し、来店客数は約4倍、旅行商品の売り上げは前年比で約2割増えた。ガイドブックだけでなく、旅への想像力を掻き立てる本のラインナップで集客につなげている。

「ブラジルに行きたい」という会社員風の女性が見ていたのは、「篠山紀信が40年くらい前にブラジルで撮ったサンバ、リオのカーニバルの本」。ムーミンでおなじみのトーベ・ヤンソンの本は、フィンランドに行く予定の人だけでなく、北欧に旅したい気持ちを掻き立てられるだろう。

客を呼ぶ魅力的な本のセレクトを委託されているのは、バッハの代表・幅允孝さんだ。子どもの頃から本好きだったという幅さんは、大学卒業後は青山ブックセンターに就職、編集者を経て、2005年にバッハを設立した。

普段読書をしない人にも本の魅力を伝えるべく、異業種とのコラボを進める。リアル店舗がネット通販に押される中、幅さんはリアルだからこその可能性があるという。

「知らない本に偶然出くわすのは、リアルな場所だからこその喜びや面白さ。(それを)『幸福な事故の誘発』や『ポジティプなつまずき』と言ったりするんですけど、そういうものを提案していきたい」

「ストーリーマーケティング」に本は最適

バッハは新宿伊勢丹の美容用品売り場も手掛けている。4年前から美容関連の書籍売り場を設けたことで集客力が高まり、フロア全体の売上は3割増えた。輸入車販売店からも、書籍コーナーを作りたいという話がある。

コメンテーターの伊藤元重氏(東京大学大学院教授)は、「本を売り場に置くのは、マーケティングの知恵が詰まっている」として、こう称賛していた。

「これを『ストーリーマーケティング』と呼びますが、モノだけでなく、背景にどんな楽しみ方があるのか知った方が商品に愛着がでる。本というのはそれが凄く深い」

ストーリーを知って、共感して買ってもらえるというのだ。さらに、集客のためには常に売り場を変化させねばならないが、本はそれが比較的容易なことも挙げていた。

ふだん本屋に行かない人でも、ワインを選んでいれば料理本を、雑貨を見ているついでにインテリアの本をのぞきたくなる。出版のプロが手間暇かけて作った本には、ネットにはない魅力や信頼性がある。深い考えもなく売れ筋の本を並べる書店より、ずっと価値のある売り場づくりになっているのではないだろうか。(ライター:okei)

あわせてよみたい:半生を16ページにまとめた「親の雑誌」が好評

 

【PR】注目情報

関連記事

次世代バナー
次世代バナー

人気記事ランキング

  1. 落合陽一、口唇口蓋裂の息子の写真を投稿する理由明かし大反響 「ありがたい」「当事者として心に響く写真ばかり」
  2. 羽生選手のポストカード付き乗車券、発売前から転売 仙台市交通局は購入控えるよう呼びかけ「何より羽生さんが悲しむ」
  3. 【悲報】ゴキブリ相談が多い都道府県1位「東京」 対策法は「僅かな隙間もテープでブロック」「生ゴミを入れる袋は固く縛る」
  4. 勝手に「かわいそうな人扱い」されることにモヤモヤ 「人を憐れむのは失礼」?「親切にしてもらえてラッキー」?
  5. 外国人向け「飲みニケーション研修」開催 乾杯マナーやお通し「初めて知った!」
  6. 内定者確保で都道府県庁苦戦、辞退率6割超も 「地元」の範囲が狭くなり、受験者はより小さな自治体を選ぶ傾向
  7. 青い海に囲まれながらスローライフ! 長崎県五島市が移住相談会を都内で開催
  8. 「ブラック病院」「過労死しないか心配」――勤務医の4割が「有休をほとんど取れていない」と回答
  9. 「車で甲子園に連れて行ってくれた友人にガソリン代を請求された」 不満を漏らすスレ主に「言われる前に出せ」と非難殺到
  10. 「お盆期間中も会社は休みにならない」働く人の4割 お盆の過ごし方としては「自宅でゆっくり」が最多