就職しないでいきなり独立 「新卒フリーランス」は果たして「もったいない」のか
先日のこと、興味深いブログを目にした。この春、早稲田大学を卒業して新社会人になったばかりのアルファブロガー、八木仁平氏が、なんでも、就職を蹴って新卒フリーランスとして活動するのだという。(文:松本ミゾレ)
早稲田を卒業したのにブロガーとしてキャンピングカー生活?
3月25日に更新したブログによると、八木氏も当初は「まずは新卒で入社して3年働け」という、よく耳にする言葉を信じて就職活動を行い、エンジニアを目指していた。しかし内定先で、2か月ほどインターンとして研修を受けた結果、どうも自分に向いていないと感じたという。
一方で、大学3年の頃から更新をスタートしたブログは、月間60万人に読んでもらえるコンテンツに成長していた。そこで普通に就職してキャリアを積んでいく道と、最初から独立するという道を天秤にかけた結果「ぼくは就職する必要ない」と考えるに至ったと、こういうわけだ。
そして5月から、キャンピングカーで全国を巡り、拠点を固定しない生活を送ることを決意したのだという。僕は正直、この行動力と馬鹿さ加減(良い意味で!)に笑ってしまった。
八木氏のような若者は他にもいるようで、料理をビジネスにしたいという上智大卒の男性もいた。「新卒フリーランス」という言葉がネット界隈で少し流行りそうな気配もある。
会社組織の中で実力を付けてから独立すればいい、という指摘も
一方こうした若者たちの決断に否定的な意見も出ている。人気ブログの「さようなら、憂鬱な木曜日」は3月26日に「新卒フリーランスの若者に思うのは『会社という組織を利用しないのはもったいない』ということ」という記事を掲載している。
同記事では、企業が新卒の社員にかける教育コストは「膨大なものである」と指摘。入社から半年は、ビジネスマナーから業界の知識まで研修で学ぶことになるが、新卒フリーランスの若者は「まずはこの機会を失った」と指摘する。
どんな優秀な人材も、ビジネスの基本となる業界マナーを熟知しておかなくては歓迎されない。この指摘はもっともでもある。さらに、以下のようにも語っている。
「会社としては、最初の数年はコスト要因として1人前に育て上げ、そこから利益を生める人材になったらその後数十年間で回収しようと考えている。しかしながら、利益を生める人材になった時点で独立してしまうというオプションも、こちら側は当然に持つべき権利なのだ」
つまり、会社の中に入って十分実力をつけてから独り立ちしても遅くないのでは? と考えているようだ。また、今後の八木氏のフリーランスとしての実力に対しても、「学生バイトしかしたことのない八木さんというのは、ドラゴンボールで言えばサイバイマン以下だ」と厳しい言葉を投げかけている。
船出しちゃった以上は後には引けないけど、挑戦することに意義はある!
正直なところ、色んな生き方があっていいと思うので、僕はどちらの考えにも賛同してしまう。八木氏の「若さが原動力」とも思える生き方には賛否があるけど、積極的に各地で人脈を広げていこうというビジョンは当然あるはずだ。
ブログを運営するだけなら会社に入っていながらでも可能だけど、ブログ収入と併せてフリーランスとして売っていくなら、車で全国行脚しているぐらいのインパクトは欲しい。そうなると就職しない、という選択肢も決して悪くないのではないかと思われる。
というかぶっちゃけ、フリーランスなんて実績がなくたって死なない程度に食べていける。それは僕のような人間が何年もやっていけているのが何よりの証拠だ。フリーランスの人生は、意外となるようになるもの。一度きりの人生を、自分の意思でやりたいように過ごすのなら、先に大人になった者としては応援せざるを得ない。