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半径3メートルの社員のプロフィールをスマホに表示! リクルートテクノロジーズが「社内ビーコン」を開発したワケ

生え抜き社員ばかりの会社であれば、社員はお互いのことをよく知っている状態が保たれる。しかしスペシャリストを中途採用で集めるような会社では、いつの間にか見慣れない人が入社して、会議に座っていたりすることもある。

中途入社者が増え続けると自己紹介がわずらわしくなり、お互いの人物像が分からないまま仕事をする組織になってしまう。そんな問題を解決できるツールを、リクルートテクノロジーズが開発して社内で実験を行っているという。

言葉を交わさなくても相手が誰なのかが分かる

リクルートテクノロジーズのサイトより

リクルートテクノロジーズのサイトより

新たに開発されたツールは「社内ビーコン(無線標識)」と呼ばれるデバイスだ。縦6.3センチ、横2センチで、重さ10グラムほどの軽さ。上部に大きな穴が空いており、社員証のストラップなどに通して使うことが想定されている。

社内ビーコンを提げた社員が3メートル以内に近づくと、スマートフォンに入れた専用アプリが反応する。画面には、その社員の氏名や顔写真、所属やメールアドレス、電話番号といったプロフィールが表示されるしかけだ。

あらかじめ一言メモを書いておくこともできるので、自己アピールにもなる。会議の出席者だけでなく、エレベーターや廊下ですれ違った人が誰なのかも、直接言葉を交わすことなく、すぐに知ることができる。

開発の背景には、500人を超える社員のうち8割が中途入社という同社の事情がある。中途入社者が職場に馴染めないと大きなストレスになり、退職につながるリスクになる。社内ビーコンは顔と名前を一致させ、人への親近感を高める効果が期待できる。

初対面の参加者がいる会議などでは、いちいち自己紹介をするのもわずらわしいが、社内ビーコンがあればお互いの所属などが分かるので、担当業務などを踏まえて議論がしやすくなる効果が期待される。

充実した社員名簿を生み出したリクルートの伝統を引く

社内ビーコンには、電話、メール送信のほかに「人の紹介」という機能がある。もともと同社では社員同士をメールで紹介し合うことが多かったが、それをもっと楽にできるように開発されたものだ。

「紹介」によって社員がつながり交流が活性化されることで、社内のリソースが有効活用され、組織の生産性が高まる。同社の担当者によると、ビーコンの技術自体は以前から持っていたが、新しい用途を探る中で人事の課題と一致したため開発に至ったのだという。

「もともと組織の拡大によって、コミュニケーションの困難が増大しているという問題に直面していたのですが、その解決に社内ビーコンが使えるということになったのです」

リクルートグループは伝統的に、社員間のコミュニケーションが濃厚なことで知られる。リクルートOBの大塚寿氏の著書「職場活性化の『すごい!』手法」(PHPビジネス新書)によると、かつてのリクルートには「人間地図帳アトラス」という社員名簿があったという。

その中には数千人の社員の名前や顔、所属だけでなく、誕生日や趣味、血液型、既婚・未婚や恋人募集中の情報まで載せていた。現在は個人情報保護の観点から中止されているが、このような取り組みによって社員の顔と名前を一致させ、どこにどんな人がいるのかを共有しながら社員の関係性を密にすることを目指していたようだ。

同じ職場で働いている人がどんな人か分からないまま、限られた作業だけを分担している状態では、知的業務の生産性は高まらない。社内ビーコンは、「人間地図帳アトラス」の伝統を引くリクルートの問題意識が生み出したものと言えそうだ。

あわせてよみたい:職場でスマホ充電は許されるのか

 

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