【口コミ研究】ソニーの見えざる弱点は「組織間の連携」? 強すぎる事業部と個人主義は、これからの業績回復に吉となるのか | キャリコネニュース
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【口コミ研究】ソニーの見えざる弱点は「組織間の連携」? 強すぎる事業部と個人主義は、これからの業績回復に吉となるのか

魅力的だが統率は取れない

魅力的だが統率は取れない

日経ビジネス誌が掲載している「オレの愛したソニー」という連続インタビューに、懐かしさを覚える人もいるだろう。バブル崩壊以前に入社したサラリーマンにとって、ソニーといえば戦後ニッポンの栄光を象徴する誇らしい存在であった。

しかし今のソニーは驚くような商品を出すこともなくなり、社内には創業者の謦咳に触れた人もいなくなってしまった。そんなソニーはいま、どうなっているのだろうか。口コミサイト「キャリコネ」に投稿された現役・OBOG社員の書き込みをベースに、会社の内情を探ってみた。

嘆く開発担当者「会社としての統率が取れていない」

ソニーのウェブサイトより

ソニーのウェブサイトより

「オレの愛したソニー」には、当時の開発責任者の武勇伝が続出する。部下たちも見ているメールでCEOと大げんかをした末にクビを言い渡される場面は、現場を尊重しない経営者がソニーをダメにしたエピソードとも読める。

その一方で、強すぎる現場リーダーが経営を混乱させたおそれも否定できない。この文化はいまも続いているようで、最近まで研究開発を担当していた20代後半の男性は、ソニーの開発体制について「会社としての統率が取れているようには感じられなかった」と問題視する投稿をしている。

「部門ごとのトップの影響が大きく、部門によって雰囲気が大きく異なった。よくいえば自由闊達であるが、異なる部門間で同じような開発案件が存在することもあり、とても効率的とは言えなかった。時代のニーズにマッチした開発が行われていないとも感じた」

同様の指摘は、20代の男性プログラマーからも寄せられている。「チーム間や組織間の連携を取ることが致命的に苦手で、社内の複数部署で似たような製品を作っていた」とか、「本来協力し合うべき関係の組織が、自身の組織のことしか考えていないために調整に難航する」といったことがしばしばあるという。

この原因について、男性は会社が「事業部制を敷いていること」に加えて「個人主義の人間が集まっている」ためとしたうえで、このような傾向は「会社の文化や風土といったレベルで浸透している」ため改善が難しいと指摘している。

「休日」や「給与」への社員満足度は高い

研究開発に携わっていた別の20代後半の男性は「今後の電機業界の先行きに不安を覚えた」ため、ソニーを退職した。ソニーブランドは一般消費者向け商品で一世を風靡したが、それだけでは会社の将来性がないと感じたようだ。

「日立や三菱電機などはインフラでこれからも稼いでいくだろうが、BtoCに寄り切っているソニーは、これからも厳しい局面を迎えるだろうと思ったから(退職する)。特に社会の在り方や求められる製品が変わっていく中で、頑なに昔のような製品を作っていこうとする姿勢は、過去の栄光を引きずっているようで正直共感できなかった」

キャリコネの口コミより(2016年6月17日現在)

キャリコネの口コミより(2016年6月17日現在)

「過去の栄光」と言われると、いまのソニーをふがいないと感じる人は反発するかもしれない。しかしそれでもシャープなどのように身売りすることなく、今も存続し続けている点は評価すべきだろう。

キャリコネの口コミによると、会社に対する社員の評価は全体的に高い。最高は「休日の満足度」の3.8で、「給与の満足度」と「ホワイト度」はともに3.7。「労働時間の満足度」は少し落ちて3.4、最低は「ストレス度の低さ」で3.2だった。

仕事そのものはラクではないが、労働環境は良好であることは間違いなく、休日や給与もたっぷりあるようだ。30代前半の男性は、充実した福利厚生に満足している。

「(福利厚生で)一般企業にあってソニーにないものはないと思う。(自社製品の)B級品セールなどは見ているだけでも楽しかった。選べるベネフィットなども、社員への福利厚生としては十分だった。これ以上望むのは他社と比較して贅沢だと思う」

出世しやすい部門は「デジタルイメージング本部」

2015年には「ジョブグレード制」を導入。年功的な要素を排除し、職務や役割にもとづいて給与が決まる制度にした。その結果、ある20代後半の男性は「若い年齢の方でも多く給料をもらってる人が多い」と評価するが、40代後半の男性は「事実上降格扱いとなり給料が1割程下がった」と嘆いている。

ソニーIR資料より

ソニーIR資料より

一時のブランドの威光はすで失われたといわれて久しいが、転職人気ランキングではいまだ上位に食い込んでいる。ソニーで働きたいと思う人にとって、気になるのが「中途採用でも活躍できるのか」ということ。販売促進を担当する20代男性は「中途採用の人でも全く区別なく出世できる」と断言し、「むしろ仕事に対するハングリーさは上なので、特に海外営業は中途の方が出世しているかもしれない」と明かしている。

この男性は「出世しやすい部門はDI」と指摘。現在の「デジタルイメージング本部」のことで、ビデオカメラやデジタルカメラを担当する部署だ。ヒット商品「ハンディカム」や「サイバーショット」などに関わった社員から、その後のソニーを牽引する人材が出ているのかもしれない。

キャリコネ転職サービスが連携している求人には、ソニーが募集する職種が60件ヒットする。iPhoneなど世界のスマートフォンに使われているといわれる「CMOS(シーモス)イメージセンサ」に関するものは、「イメージングシステム開発リーダー」「画素設計エンジニア」「デジタル回路開発・評価エンジニア」など7件の求人が並んでいる。

この他、ソニーは現在「ロボティクス技術開発エンジニア」や「データサイエンティスト」「次世代音楽機器開発のソフトウェアエンジニア」から「知的財産(特許技術担当者)」「税務・経理スタッフ」など幅広い職種で多数の求人を出している。

リーマン・ショック以降の度重なるリストラを乗り越えて、2015年度は3年ぶりに黒字回復したソニー。独特の企業文化があるようだが、空前の売り手市場の中、いちど希望の職種に挑戦してみるのもいいかもしれない。

あわせてよみたい:キャリコネで「ソニー」の情報を検索

 

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