大人のADHD、なぜいま増えている? ものづくりの職場が減り、高い「コミュ力」求められる現代社会 | キャリコネニュース
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大人のADHD、なぜいま増えている? ものづくりの職場が減り、高い「コミュ力」求められる現代社会

もしかして、私もADHD?

もしかして、私もADHD?

最近ネットで、「ADHD」という言葉を多く見かけるようになった。ADHDとは注意欠陥・多動性障害といわれ、「しょっちゅう忘れ物をしてしまう」「部屋が片付かない」「衝動的に行動する」などといった特性がある発達障害の1つである。

有名人ではモデルの栗原類や経済評論家の勝間和代、タレントの黒柳徹子などがADHDを告白しているが、最近これが原因で職場や結婚生活でミスを責められ、鬱病などを引き起こす大人が増えているという。7月7日の「みんなのニュース ワンダー」(関西テレビ)が伝えた。(文:みゆくらけん)

うつ状態で退職「自分は迷惑をかける人間」

NPO法人「発達障害をもつ大人の会」代表の広野ゆいさんは、自身もADHDの当事者だ。子どもの頃から忘れ物が多く、朝起きるのも苦手。ミスを連発し、朝から晩まで怒られっぱなしの毎日だったという。

「宿題を忘れないとか、多分普通の人がそんなに頑張らなくてもできることが、ものすごく頑張ってもできない。(自分は他人に)迷惑をかける人間なんだなと、ずっと思っていました」

勉強は得意だったため、周りから「なぜやる気を出さないのか」と責められ続けた。大学卒業後、秘書として働くようになってからも時間管理ができず、たびたび遅刻したり、ミスを重ねたりするなどして、同僚から「仕事ができない人」というレッテルを貼られた。

精神的に追い詰められた広野さんは次第にうつ状態になり、会社を退職。当時は「自分が皆に迷惑をかけている」という恐怖感でいっぱいだったという。

その後、結婚して専業主婦になったが、その生活もうまくいかなかった。家事をうまくこなせず、夫の帰宅までに夕食を作れなかったり、家の中を片付けられなかったり。ストレスを抱えた夫からは毎日、言葉の暴力を受けた。

「オマエみたいなヤツ、生きてる資格あるんか?」

ちょっとしたミスが追及され、許容されなくなった

言葉の暴力は、やがて身体の暴力へ。31歳でようやくADHDと診断されたが、夫の理解は得られず、結婚生活は破綻。その後、同じような悩みを抱えた仲間と出会ったことで、なんとか前向きに生きられるようになったという。

今でも「調子が悪くなると無茶苦茶になる」というが、そのときに自分を責めず「今、自分は調子が悪い」と受け入れるようにしていると話す。こんな広野さんのように、ADHDで悩む大人は多い。

カンニング竹山の周りにも、ADHDの人がたくさんいるという。竹山は「はじめは意味がわからなくて、怒鳴ってだいぶ怒っていた」というが、「病気のことをこっちサイドも理解していくと、徐々に付き合っていけるようになった」と話している。

大人のADHDが目立つようになった背景について、龍谷大学の須賀英道教授は「昔と今の時代の違い」が大きいと分析する。

「昔なら農作業やものづくりなど地道にやっていくことで、コミュニケーション力がなくても目立つことがなかった。今はコミュニケーション力が求められるようになってきて、ちょっとしたミスが追及されて、受け入れてもらえるような許容、妥協がすごく厳しくなっている」

自身がADHDだと認識せずに自信喪失する人も

ADHDの人の中には、自身がADHDだと認識せずに「自分はダメ人間だ」と自信喪失しきっていることもある。その場合、「なぜ忘れるの?」「なぜ注意しないの?」と問い詰めるのは厳禁だ。「忘れそうだな」「ミスしそうだな」と気づけば、何をどうしたらいいのか具体的に声掛けしてあげることが大切だと、番組では伝えていた。

自分がADHDかもしれないという人は、日常生活をスムーズに送るためのちょっとした努力が必要だ。失言が多い人は「他人が話しているときは、言いたいことがあっても1分間黙って聞いてみる」、忘れ物をしやすい人は「連絡事項が書かれた紙をスマホなどで撮影しておく」など、簡単にできることから習慣にしてしまうのがコツだという。

あわせてよみたい:日本人が働き続けてしまう理由

 

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