将来的に地方移住を希望する社会人が約半数 でも、田舎での生活は正直いって楽じゃないぞ!
昨今、定年後、あるいは転職などで東京など都市部を離れて、地方に移住する人が、Uターン組、Iターン組などと呼ばれ、話題になることも多い。住み親しんだ都会の喧騒は、にぎやかでよろしい反面、住むにしては人が多すぎると感じることもあるだろう。
そこでいっそのこと田舎に移住をして第二の人生を幕開けしたいと考えている人も、決して少なくはないようだ。(文:松本ミゾレ)
大都市圏からわざわざ地方に移住して、一体何がしたいのか
岡山県に本社を置く人材会社、キャリアプランニングが、7月7日から10日にかけて、大都市圏に住む20~49歳までの275人の社会人を対象に、U・Iターンに関する意識調査を行った。この結果が非常に興味深いものだったので、今回こちらで紹介していきたい。
「将来生活したいのは」という設問に対し、「大都市圏」と回答した人が24%。「どちらかといえば大都市圏」と回答した人は29%だった。あわせて53%と、ぎりぎり過半数が、そのまま都市部での生活続行を検討していることが分かった。
一方で「地方」と回答した人も16%いた。「どちらかといえば地方」は31%となっており、あわせて47%と、地方移住に前向きな人が半数に迫りそうな勢いとなっている。
それにしても、都市部を離れてわざわざインフラの整っていないような田舎に移住して、どうやって暮らしていくつもりなのだろうか。調査では、この点についても突っ込んでいる。
なんでも、大都市圏から地方への移住を希望する人々のうち、63%が移住先の地元企業への転職を考えているというのだ。移住先の企業の情報の仕入れ方については、主にインターネットで口コミサイトを閲覧するなどが挙げられていた。
今やネットもかなり普及しているし、田舎だろうとなかろうと、企業についての良し悪しは大抵どこかの誰かが書き込んでいるものだ。検索すれば見えてくる部分もあるので、入社を希望する企業に下調べをかけておくというのは、都会も田舎も変わらない。便利な世の中になったものである。
電車は1時間に1本、バスは1日数本という環境に耐えられる?
不肖ながら筆者は、九州のド田舎出身だ。これまで上京して仕事をしたこともあるが、なんだか肌に合わなかったので、現在は近からず遠からずの位置にある新潟に住んでいる。
田舎の人間から言わせてもらえば、元々地方から出てきた社会人が、そのうち地元に戻るというUターン組については、別によくあることと思うだけで、何の感慨も懸念も浮かばない。せいぜい「親御さんはホッとするでしょうね」ぐらいの感想だ。
しかし、Iターン組については、「よくよく考えてから地方においでください」と警告したくなる。都会と田舎とでは、空気の流れ方も違えば、インフラの利便性も、人間の質も全く違ってしまう。
その土地ごとに一見意味不明なしきたりもあれば、近所付き合いもめんどくさいレベルで強いられることもある。バスは1日数本しかないとか、電車だって1時間おきがざらだ。人間だって都会の人々とは異質。正直、わざわざIターンしてここまで面倒な土地に移り住む理由が、僕にはちょっと理解できない。
実際、生まれも育ちも東京なのに「Iターンをしよう!」と一念発起した知人がいたが、彼の場合、日々の出来事を綴っていたブログは、2か月で更新が停止してしまった。SNSには泣き言ばかり書いている。
他県からやってきた移住者に対する田舎者の対応には、主に2つのパターンがある。
1つ目は余所者扱いして厳しく接し、疎外感を覚えさせるというもの。2つ目がとにかく大歓迎するが、移住者のパーソナルエリアにもズカズカ立ち入って神経を逆撫でするというもの。Iターンで田舎に飛び込むという場合には、こういうストレスもある程度予測しておいた方が無難だ。僕はIターンはあんまりお勧めしない。
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