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預金金利は20%超え! 好景気に沸くアゼルバイジャンと、取り残された避難民たち

2014年10月13日放送の「未来世紀ジパング」(テレビ東京)は、コーカサス地方に位置する旧ソビエト連邦の共和制国家、アゼルバイジャンを紹介した。欧州とアジアの分岐点に位置し、「第二のドバイ」とも言われ始めた国だ。

旧ソ連の解体により独立した国で、首都バクーは経済が沸騰中。銀行の預金金利は20%を超え、市民は「預けているだけでお金が増える」「利息だけで車が買えたわ」などと話す。その一方、好景気に乗れず厳しい暮らしを強いられている人たちもいて、番組では、ある日本人がその人々を援助していることも伝えた。

油田めぐり「カスピ海は海か湖か」で論争中

1018tv不動産王・イブラヒモフ氏の邸宅は、東京ドーム4個分の敷地だ。息子の18歳の誕生祝いには、ポルシェと小さな城のような家まで建設中だという。イブラヒモフ氏はこう語る。

「アゼルバイジャンは、ここ数年で急成長した。その凄さは、世界の誰が見ても明らかだ。これからは、もっとすごいことになるよ」

富の源泉は、カスピ海にある豊富な原油だ。欧米の技術力により、1990年代から海底油田の開発に成功している。油田は品質が圧倒的に高く、毎日74億円の石油を産出。新しいプラットフォームが次々に建設されており、10月時点で81カ所にものぼる。

油田は今後100年安泰と言われているが、アゼルバイジャンはもちろんロシアやカザフスタン、トルクメニスタンは、カスピ海を「海」だと主張している。海であれば沿岸から200海里(370キロ)が排他的経済水域となり、資源を自国のものにできるからだ。

一方、自国の「海域」に海底油田がないイランだけは「湖」だとして、周辺国で資源を分け合うことを主張している。もっとも、油田が発見されていなかった頃のロシアは「湖」だと主張しており、この論争は20年以上も続いているという。

日本の伊藤忠商事は、1994年からカスピ海の油田事業に参画。サンガチャルターミナルで働く廣川詳二氏によると、参画当時から産出量は1.5倍近くになり、まだまだ成長過程にあるという。ここで精製した原油をパイプラインで地中に通し、グルジア経由でトルコの地中海沿岸まで届け、一気にヨーロッパへ大量輸送する。

貧しい避難民にメガネを寄付し続ける日本人がいた

ただ、番組では気になることも紹介していた。富める国の首都であるはずのバクーの片隅に、開発から取り残された築40年の共同住宅があり、旧ソ連が弱体化してきた頃に起きた「ナゴルノ・カラバフ紛争」で避難民となった人たちが暮らしているのだ。

政府が用意した住居というが、建物は古く、生活はギリギリの状態。7つの家族で台所とシャワー室を共同で使っているという。ここで暮らす男性は、こんな暮らしを20年以上続けて来たと言い、「故郷に帰る日を夢見て耐えるしかない」と語った。

そんな避難民に手を差し伸べる、1人の日本人がいた。北海道札幌市にある「富士メガネ」の会長、金井昭雄さんだ。毎年アゼルバイジャンに渡り目の検査をし、無償で4000本以上のメガネを寄付し続けている。

現地では「ドクター・カナイ」と呼ばれ、2006年「難民支援のノーベル平和賞」と言われ世界的権威のあるナンセン難民賞を、日本人として初めて受賞した。金井さんはこの活動を続けている理由をこう語る。

「見えることは、人生で命の次に大切なこと。メガネをあげるたびに感じます。皆さんの人生の展望が開ければいいなという思いです」

強度の乱視など特別なメガネが必要な人には、データを日本に持ち帰って作成している。このメガネは国連職員によって届けられ、強度の遠視で通学が不安視されていた3歳の少女アイリンちゃんも、メガネをかけて元気に外を駆け回れるようになった。

ロシアを警戒する欧州は「関係強化」を歓迎

池上彰氏の解説によると、アゼルバイジャンは今後ヨーロッパの一員になろうとしており、イタリアまで石油のパイプラインをつなぐ計画もある。来年のヨーロッパ競技大会やF1ヨーロッパGPはバクーで開催される予定で、欧州と太いパイプを築いていこうとしている。

欧州にしても、リスクの多いロシアからの天然資源に頼らずに済み、歓迎しているという。アゼルバイジャンは国としてますます発展してゆくことだろう。

現地には空手ブームなどもあるというが、池上氏は「日本との関係はまだまだこれから。金井さんのような草の根運動が、日本のイメージを良くしている」と語った。

しかし、開発著しい立派なビルが立ち並ぶそのすぐ近くに、さびれた集合住宅がある光景は異様だった。番組ゲストの高橋英樹が「贅沢な生活をしている人と、ご苦労されている人が同じ国にいて、この差ってどうなのかと思いますね」と話したように、あまりのギャップに驚くよりも悲しい気持ちになってしまう。

避難民たちの目を助けるのが一人の日本人であることは誇らしいが、アゼルバイジャンの問題としてどうにかならないのかと思わずにはいられない。(ライター:okei)

あわせてよみたい:富める独裁国家トルクメニスタンで取材

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